第22話 頭の中のアイツ




母さん改造手術も終わり、いよいよステータスのチェックへと入る。


ぶっちゃけ、ここまで肉体に変化が起こっているのだ。ステータスに変化はなしっていうのは、まず無いと思う。


なので問題は、どれだけストロングパゥワーを身につけられたか!、、だな。



「じ、じゃあ母さん。心の準備はいい?」


「え、ええ。お願いするわ。」


俺はコクリと頷き、母さんに鑑定をかける。さらにその結果をリビングの壁に投写した。




オカン・エド(28)

種族 魔族

性別 ♀

クラス ウィッチ・オブ・アビス

LV 1

HP 5680

MP 6720

STR 3346

DEF 807

ING 4091

DEX 763

AGI 2190

属性 闇・火・水・風・土


[スキル]

鑑定Lv1、隠蔽Lv1

ビンタLv91、往復ビンタLv62


[パッシブスキル]

魔王の母親Lv1、状態異常無効

身体強化Lv89、体技Lv93、杖技Lv82

5属性魔法、魔力操作Lv99


[魔法]

ダークインフェルノ、ブラックアウト

フレアエンド、デスウェーブ、トルネラスト、チタマデストロイ



[補足]

99代目 魔王の母。魔王を枯渇させるほどの魔力を取り込み、ユニーククラスであるウィッチ・オブ・アビスとして覚醒した。Lv1に戻るが初期ステータスにクラスチェンジボーナスが加算されたので、生涯幼女を楽しむ事が出来る。


身長119cm、体重22kg。

B63cm、W56cm、H66cm。

白×オレンジ縞パンツ着用中。




やはり改造手術は成功していたな。


しかも、俺の予想を遥かに上回る強化具合だ!



俺が母さんのステータスを見ながら、うんうんっ納得のいく仕上がりだ!と達成感に浸っていたら、横から当の本人からお声がかけられた。



「ワ、ワカバちゃん。これって?」


「母さんも、あまりの強さに驚いちゃった?俺もビックリだよーっ♪」


「そ、そうね。ステータス的には大成功よね。でも、、この部分。よく意味が分からないのよ。」


母さんは壁に写し出された自分のステータスを指差した。


正確に言うと、ステータスの『補足』を指差した。、、だな。


まぁ、遅かれ早かれ説明する事になっていただろうから、正直に言ってしまおう。



「あ〜、それね?エチゴさんやベリアルとかに鑑定使ってたら、いつの間にやら鑑定Lvが15を超えてたみたいでね?ばっちりスリーサイズまで分かっちゃうようになっちゃったんだ。ごめんね?」


「、、あっ!本当だわっ!?、、っじゃなくて!!こっちよ、こっち!!」


誤魔化せなかったようだ。


えっ?正直に言うんじゃなかったのかって?


いや〜、やっぱりこういう重大な話をするのって、心の準備が必要だと思うんだよ。


だから今は先延ばしにして、次にこの話題になる前に言い訳を考えとこうと思ったんだが。


まぁ、今度こそ正直に話すしかないようだね、はぁ〜、、。



「えっと、、最後まで落ち着いて聞いて。」


「え、ええ。分かったわ。」


「俺もさっきベリアルから聞いたんだけど、魔族の平均寿命は8〜900歳らしいんだ。」


「思ってたより長命なのねぇ。、、それで?」


「で、体の老い方なんだけど、保有魔力量が関係しているらしいんだ。、、ここまで聞けば分かるかな?」


「、、もしかして、今のMP・INGだと死ぬまで体の老いが、、こない?」


「正解だよ。俺もベリアルに『死ぬまで今の姿でしょう!』って言われて、かなりショックを受けたもん。」


「そ、そうなの。、、分かったわ!切り替えていきましょっ!!そうよっ、ずっと可愛いままだなんて、干からびた○ソババアになるより数万倍良いわっ!!」


あ、俺と同じ答えに辿り着いたな。



「そうだよ、その通りなんだよっ!シワとか肌荒れなんて無関係のっ!買い物すると毎回オマケがもらえるっ!幼女っ最高だぜっ!!」


「うん、ワカバちゃん?それはちょっと引くわ。」


「あ、はい。ごめんなさい。」


少し熱くなってしまったが、結論としては、ク○ババアより数億倍マシ!!という事で決着がついたのであった、、。



さて、ステータスチェックも終わった事だし、次はコレをやらなきゃだ。



「母さん、このまま動かないでじっとしててね?」


「何かやるのかしら?」


「うん。実は、母さんにもアイテムBOXを覚えてもらおうと思ってね?」


「え、、ええーーーっ!!?」


「ふふっ驚きすぎだよ〜。」


「いえいえっ!!だってあのアイテムBOXよ!?限られた人しか使えない、超絶レアなスキルなのよっ!?それを私も使えるようになるなんて言われたら、驚きもするわよっ!!」


「それもそっか。まぁ嫌ならエチゴさんに、、


「さっ!!やってちょうだいっ!!」


俺の言葉を遮り、力強く要求してきた母さん。まるでエチゴさんに取られたら殺ってしまいそうな勢いだ。


まぁ言われなくても母さんに使うつもりだったから良いんだが。



「それじゃ、いくよ〜!」


「よ、よし来いっ!!」


母さんは目を閉じ、握り拳を作って、今か今かと待ち構える。


なんか、友達にピアッサーで穴開けるの頼んだ子みたいだな。



さておき、俺はアイテムBOXの種を母さんの頭頂部にそっと置いた。


すると、触れてもいないのに勝手にメコメコと母さんの頭にめり込んでいくではないか!


これって絶対〜、、



「いだだだだだっ!!!痛い痛い痛いっ!!!」


、、だよな。


とりあえずスリープで眠らせて、終わったら起こしてあげようかな。


頭頂部を押さえて、悲痛な叫びを発しながら床を転げ回る母さんに、スリープをかける。



[スリープッ!!]


ふぅ、これで一安し、、



「痛いイタタタッいだだだだだっ!!!」


ふむ?なんで寝ないんだ?


初めての不発に、少し混乱。


だが、母さんのステータスにとんでもないスキルがあるのを発見してしまった。



『状態異常無効』なんてあったら、そりゃスリープなんて効きませんよ。



だがこのまま放っておくわけにはいかない。


解決策、、解決策、、解、、あっそうだ!



「母さん!状態異常無効OFFって意識してみて!!」


「ひーっ!!わっ分かっだわ〜っ!!」


多分これでいけるはず!と、再スリープを行使した。



「ほっ。なんとかなったか〜。ピンポン球が頭蓋骨突き破ってきたら、そりゃ痛いよね。」


、、だが、脳に傷ついたりしないのか?

それとも、頭蓋骨内部に入った段階で芽吹き、脳のアイテムBOXに繋がる回路と接続!で、その接続が痛みを伴うって感じかなぁ?


そんな事を考えながら、めり込み続ける種の様子を観察する。


あと数ミリで完全に頭蓋骨エリアを突破する種。

今さら取り出すのは、到底無理な話なので、黙って経過を見ているしかない。


しかしよく考えてみると、終わったら終わったで、頭蓋骨に穴開きっぱなしだよな?


アフターケアガン無視の不親切サービス!消費者庁にタレコミすっぞ!?


なんて思いもするが、無事に終わってくれれば許してやるよ。



あっ、完全に頭蓋骨内部に入ったな。


ほら。穴開きっぱなしじゃん。どうすんのコレ?


最初っから俺の回復魔法を当てにしてたとしか思えないよな?



はぁ〜〜、仕方ない。母さんの頭に旗立てたらゴルフ場のグリーンみたいになっちゃうし。



俺は意識を集中し、フルケアヒールを使う。、、寸前に止めた。



ヒョコッと何かが出てきたのだ!


その姿は、よく絵本などに出てくる妖精みたいで、可愛らしくイタズラ好きそうな感じ、、。


その妖精は母さんの頭の穴のサイズを測り、戻っていった。


少し待つと、今度は色んな機材を持って出てきた。


あ〜、アレは溶接機だな。遮光マスクも持ってるし。



バチバチッバチバチバチバチッバチバチッ!


あまりの眩しさに、俺は顔をそっぽに向けた。


溶接音が止まったので確認してみると、既に妖精は居なくなっていた。



バチバチバチッバチバチッバチバチバチバチッ!!



、、うん。内側からも溶接してるようだね。強度アップを図っているのだろう。



そして溶接音が完全に止まった。



「まぁ、出てこないよな。うん、知ってた。」


とりあえず、今の出来事を知っているのは俺だけなんだ。

俺が黙っていれば、母さんの頭の中に妖精が住んでるなんて、誰も思わないだろ。


よし、見なかった事にしよう!



「おぉ、穴の痕跡が全くないよ。凄い腕前だったんだな。」


一応、作業の仕上がり具合は確認しておかねば!と思い見てみると、傷痕なんてじっくり見てみても分からない状態になっていた。


まぁ、一つだけ言わせてもらえば、、直径約4cm部分だけ、髪の色違うからね!?

母さんの髪、ライムグリーンじゃなくて明るい茶髪だからねっ!?



ま、まぁ、、ショックで白髪になっちゃう人もいるって聞くから、1箇所だけライムグリーンになってても大丈夫、、かな?



「母さん、起きて?母さん?」


「う、、ぅうん。ワカバ、、ちゃん。お、終わったのね?」


「うん。無事にアイテムBOXを覚えられたね!」


そう言いながら、壁に写し出された母さんのステータスを指差した。


その指の先には、アイテムBOXの文字があった。



「ああ、、良かったわ。でも、使い方がいまいち分からないわね。『アイテムBOX!!』て叫ぶ必要はないのよね?」


「うん。入れたい物に意識を集中させて、収納って頭の中で念じれば、アイテムBOXの妖精さんが回収してくれるよ!」


「妖精さん?あははっ♪ワカバちゃんはまだまだ子供ね!妖精さんなんて、絵本の中にしかいないわよ〜っ?」


いや!居ますよ、あなたの頭の中に!!


、、とは言えず、苦笑いして誤魔化した。



やり方を教えたら、母さんはリビングにある物を手当たり次第にアイテムBOXへ回収し、ものの2〜3分で夜逃げ準備完了っみたいになってしまった。


気持ちは分かるが、また出すのが面倒だよ?と伝えたら、、


「そういうのは先に言って!!」


と、怒られてしまった。、、理不尽である。



「あっそうそう。母さんに渡す物があったんだよ。」


「?何かしら?」


「はいっ!たくさんあるから、アイテムBOXの練習にピッタリだねっ♪」


俺はがらんどうのリビングに、120cm女の子用洋服セット[春〜冬]を400個、120cm女の子用パジャマセット[春〜冬]を400個、合計800個の洋服セット、、を着たマネキンを並べた。


もう、マネキン過ぎて少し不気味な感じになっているが、まぁ気にせずいこう。、、と伝えたら、、


「っ!!こういうのは先に出してっ!!」


と、再びの理不尽。


リビングが片付いたからこそ、全部出せたんだからね?



なんにせよ、アイテムBOXの修得も終わり、ようやくひと息つけるな。


母さんがマネキン整理をしているのを、コーラを飲みながらボ〜〜っと眺める俺なのであった、、。


、、よく見るとベリアルがマネキンに踏みつけられているが、嬉しそうな顔で眠っているので放っておこう。


、、きっと良い夢見てるんだろ。


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