第21話 母さん改造手術




「ふぁ〜、、ワカバちゃん早起きね〜。」


「あっ。母さん、おはよ。」


「おはよ〜。、、私は黒いシュワシュワでいいわ〜。」


「はっ!」


スッと母さんにコーラを差し出す。



プシュッ!ゴッゴッゴッ、、

「ぷはーーっ!!こんなに美味しい目覚めがあるのねーっ♡、、で、どちら様ですか?」


コーラをグイッと飲み干し、ようやく完全に覚醒した母さんは、コーラを差し出してきた人物が見知らぬ人である事に気付いた。



「母さん、こちらはベリアル・ド・ベアル。例の魔族の人だよ。」


「ご紹介にあずかりました、ベリアル・ド・ベアルと申します。魔王様の眷属として、恥じぬ働きをしてまいります。」


「あら〜っ♪なかなか良い男じゃないの。私はワカバちゃんの母のオカンよ。」


「魔王様の母君でございましたか!という事は、かなりお強い事でしょう。頼もしい限りでございます!」


「そ、、そうね。」チラッ


「あ〜、分かってるよ。今すぐやる?」


「っ!!やるっ、やるわーっ!!ベリアルさん、私の両腕、両脚をそこのハンマーで叩き折って頂戴っ!!」


「え、、っと?」


「母さん、その前にスリープかけるからね?ベリアル、頼めるかな?今からやるのは、叩き折りの儀式!これを乗り越える事で、さらなるパゥワーと、秘めたるパゥワー、真なるパゥワーが目覚める!!、、らしいよ。」


「なっ、、ち、力に偏りすぎてしまうのでは?」


「ま、まぁそこは、、ね。ほ、ほらっ、母さんって魔法使いだから、、さ?」


「な、なるほど。これで近接戦闘も出来る、バトルソーサラーになれる、、と。苦手分野を克服しようと苦行に挑むとは。さすがは魔王様の母君でいらっしゃいますね!」


「そ、、そだね。」そうね。」


「分かりました!そういう事でしたら、不肖ベリアル。精一杯務めさせて頂きます!」


協力してもらう為に適当に言っただけなんだが、どうやら上手くいったようだ。


まぁ、ING爆上げしたい&若返りたい&綺麗になりたいっていう想いの為だから、あながち嘘ではない、、よね?



という訳で、儀式の準備をする。


両腕・両脚となると、ソファーの上でやるには難ありと判断し、母さんには床に寝転がってもらう。


その横で木槌を手に待機するベリアル。


さぁ、準備は整いました!



「母さん。この儀式が原因だと思っているけど、もしかしたら別の原因があるかもしれない。だから、もし違ったとしても怒らないでね?」


「ふふっ大丈夫よっ♪ワカバちゃんを信じているわっ♡」


うん。どうやら成功する以外の道はないようだな。



「わ、分かったよ。それじゃ、楽しい夢を見ていてね。」



[スリープっ!!]


母さんは一瞬にして深い深い眠りについた。



「さっ?ベリアル、頼むね。」


「はっ!では、、参りますっ!!」


力強く木槌を振り上げ、勢いよく振り下ろす!!


ズダーーンッ!ベキベギョッ!ズダーーンッ!バギベキッ!ズダーーンッ!ベキボギッ!ズダーーンッ!ボキバギッ!


4度の重い衝突音と生々しく不快な音がリビングに響いた。



、、ふむ。これは酷い。グチャグチャで千切れる寸前だな。



「魔王様、いかがでしょうか。」


「う、うん。いい感じに出来たね?」


「お褒めいただき、光栄でございます。では、魔王様。仕上げをお願い致します。」


そう言うとベリアルはスッと下がり場を空ける。


ここからは俺の出番だ。



「おおぅ。コレはグロい。は、早いとこ治しちゃおう。」


俺は母さんに手を向け、意識を集中させる。


千切れかかった四肢を元に戻すなんて、昨晩のエチゴさんよりヘビーな状況だが、これで何らかの障害が残ってしまったら、母さんに合わす顔がない。


俺を信じてくれた母さんの為にも、完全にやり遂げてみせる!!


さあっ、俺の魔力を喰らうがいいっ!!!



[アルティメットヒールッ!!!]


最高、最大、究極の回復魔法。これより上はなく、その頂(いただき)から全てを治す、絶対なる最後の回復魔法。


俺の手から放出される膨大な魔力が、母さんの全身を包み込む。


だが、包み込んだだけで回復が始まる気配がない。


これが何を意味するのか、、使っている俺には分かる。


『もっと、もっと魔力をよこせ!』



ははっ、、既にMP 0だっての。


どうしろってんだよ。



、、いやっ!俺が諦めて、それこそどうするってんだ!!


俺はアイテムBOXから、ストックしておいたコーラを取り出す。


それを気合いの一気飲みだ!!!



MP2400とMP0を行ったり来たりする。

それを何度繰り返しただろうか。


さ、さすがにこれ以上はっ!!



限界を感じた、その時っ!!



『ふははっ!頑張ったじゃねぇか!後は任せておけっ!!』


と、聞こえた気がした。



しかしそれは、どうやら気のせいではなかったようだ。



母さんの体が眩しくて見ていられないほど光り輝き、もの凄い熱を帯びている。


それはまるで、星の中心がここにあるかのような、、。


だがそれも本当は一瞬の記憶。


超常なる能力値で意識を集中させていたからこその、俺だけが感じることを許された神秘の記憶。


俺はこの記憶を決して忘れる事はないだろう、、。



光が徐々に弱まり、母さんの姿が認識出来るまでになった。



「う、、うぅん。終わったのかし、、ら?」


自分から目を覚ました母さんに、無事成功した事を伝える。



「ゲップゲゲゲーッ!!ゲフッゲップゲップゲッゲッゲ〜ッ。」


うん、無理だった。



アイテムBOXから出したコーラの残りを見てみると、2本しか無かった。


という事は、500ml×8本=4L。


コーラ4㍑一気飲みすりゃ、ゲップだって止まりませんよ。



「ふふっ大丈夫かしら?、、まぁっ!?まぁまぁっ♪私の手がこんなに小さくなってるわっ♪足もっ♪体もっ♪、、胸も。」


自分の体をペタペタと触りながら確認し、喜びを露わにする母さんであったが、残酷な部分に辿り着き、急に静かになった。



「ゲフッ、、母さん。調子悪いところはない?」


ようやくゲップの連鎖を断ち切れた俺は、母さんに不調はないか確認する。



「、、胸が。」


「そ、、そだね。ま、まぁそれを失っても余りあるほど、めちゃくちゃ可愛くなってるよ!!」


「そ、そう?」


「うんっ!ベリアルもそう思うよね!?」


「はっ!魔王様には一歩及ばずといったところでございますが、これほどの女性を放っておく男はいないでしょう。」


「そ、そんな事言われたら、照れちゃうわ〜っ♪ワカバちゃんっありがとうっ♡」


「ふふっどういたしましてっ♪まぁまずは服をなんとかしないとね。ベリアルはちょっと眠ってて!」


[スリープッ!!]


バタンッ!、、スゥ〜、スゥ〜、、



強制睡眠に入ったベリアルは、顔面から床に倒れ込んだが、安らかな寝息が聞こえるので大丈夫だろう。


さて、、問題はこっちだ。



「とりあえず、そのブカブカの服を脱いでね。ん〜、身長はサクラちゃんと同じくらいかぁ。、、少し小さいけど、今は俺ので我慢してもらうしかな、、くなかったよ、うん。」



再びの奈良。、、じゃなくて!再び俺のアイテムBOXに魔力干渉があった。


確認してみると、120cm女の子用セット服の春・夏・秋・冬が各100着と、パジャマも合計400着追加されていた。


それと種が1つに、文字化けしたアイテムが1つ。


文字化けアイテムはあの女からの手紙だろう。


しかし、この種の方、、本当に食べさせちゃって良いのか?


この『アイテムBOXの種』なんて。


不干渉なの忘れてるんじゃねぇの!?大丈夫か?

まぁ今回は干渉してくれて助かったが、、。


とりあえず手紙を読んでみるか。と、文字化けアイテムを取り出してみると、目の前にヒラヒラと封筒が現れた。


それを手に取り、読んでみる。




♡魔王 ワカバちゃんへ♡


早速魔族を1人仲間にするなんて、ワカバちゃんのやる気が伝わってきて嬉しく思います!


しかも魔王の魔力を使って魔族を増やすなんて、超大胆な方法を発見しましたね!素晴らしい!


まぁその方法は、やり過ぎると周囲に不審がられる恐れがあるので、これからは女性限定!!女性限定でのみ使うのを許可しましょう。


たくさん幼女を増やし、、ゴフンゴフンッ!な、仲間を増やして頑張って下さい。


服とアイテムBOXの種は、幼女を増やし、、ゴフンゴフンッ!ワ、ワカバちゃんの頑張りに対するご褒美です。


種は頭頂部に置く事でスキル『アイテムBOX』を修得する事が可能です。間違っても食べないで下さいね。食べると1週間下痢と嘔吐に苦しむ事になります。




、、ふむ。危うく超親不孝者になるところだったぜ。1週間苦しむとか、ちょっとした毒物だよな。


しかし、本当に幼女大好きだな。大戦に勝たなくても、幼女増やしまくれば願い叶えてくれそうな勢いだぞ?


ま、まぁそれはさておき、いつまでも母さんを素っ裸のまま放置しておくべきじゃないね。



俺はアイテムBOXから、120cm女の子用セット服[春]を1つ取り出す。



「母さん、とりあえず今はこれ着て?」


「まぁっ♡こんな可愛らしい服が着られるなんてっ♡」


「あと399着あるから、ずっと楽しめると思うよっ♪、、そう。ずっと、、ね?」


母さんはマネキンから服を脱がすのに夢中で、俺の呟きは聞こえなかったようだが、俺的には仲間が増えて嬉しいのだ。幼女仲間が。


まだステータスを見ていないから確定した訳ではないが、俺のMP10104とコーラ8本分のMP19200、、計MP29304を取り込んだんだ。超常の域に達してても不思議ではない。


それに、あの女からの手紙から察するに、母さんも魔族になったのは間違いないだろう。


ここから導き出される答え。それは、俺と同じで『死ぬまで幼女』って事だ!


なんか同じ境遇の人がいるって、妙な安心感があるね!


あの女の趣味に加担するようでアレなんだが、『チタマ幼女化計画』を実行に移すのも悪くないかもしれないな。


ふっふっふ。と俺が悪い笑顔をしていると、母さんの着替えが終わったようだ。



さて、いよいよステータスチェックのお時間ですよーっ!?


どれほど強化されたのか、、大きな期待と少しの不安に、鼓動を速くする2人なのであった、、。


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