第20話 移住先のご予定は




眷属召喚とか試したりもしたが、無事ツギノ街から魔族の人を救い出す事に成功した。


今はエチゴ屋2階住居スペースのリビングにて、魔族の人改めベリアルから、色々と教えてもらおうとしているところだ。



「んじゃ、魔族について教えてね?」


「はっ!何でも聞いて下さいませ。」


「じゃあ遠慮なく。まずは、ベリアルって176歳なんだよね?」


「その通りでございます。」


「ふむふむ。という事は、魔族って長命な種族なのかな?」


「はい、仰る通りでございます。魔族の平均寿命は、800〜900歳ほどでございます。エルフ族に次ぐ寿命でございますが、長命種ならではの問題もございます。」


「あ〜、、子供が出来づらいって?」


「はい。しかし、純血に拘らないのであれば、比較的、子が成しやすいという説もございますね。」


「なるほどねー。ちなみに、外見的にはどんな感じで老けてくかな?」


「それに関しては、保有魔力量が大きく関係してきます。魔王様クラスの魔力でしたら、お亡くなりになるまで今のお姿だと思われますね。」


「そ、、そか。死ぬまで幼女、、か。」


との事だが、、あの女、俺の幼女姿を少しでも長く楽しみたくて、あえてエターナルエンドの事黙ってただろ!?


もしも、ク○ババアになるか幼女のままか!!と聞かれたら、幼女の方がまだマシかと思うかもしれないが、、。


まぁ、『幼女のまま問題』はまだ放置でいいや。

まだこの姿になったばかりで、別に飽きた訳でもないし。


この問題は、また数年後に改めて考えるとしよう。



「それじゃあ次の質問ね?先の大戦で生き残った魔族は全部で10人。ベリアルを除いた9人の居場所は分かるかな?」


「残念ながら、私が把握しているのは3人だけでございますね。それも、1人は50年前の情報ですので、まだあの街に居るのかは分かりません。」


「ふ〜む。ちなみに2人の居場所は分かるんだよね?」


「はい。1人はツギノ街から北東に位置する街、サンノ街に居ますね。もう1人は、ツギノ街から北西に位置するニーテンゴ街に居ます。」


「、、もしかしてさ、距離的に近いのってニーテンゴ街かな?」


「さすが魔王様!ツギノ街からの直線距離ですと、ニーテンゴ街の方が60kmほど近いです。よくご存知でいらっしゃいましたね。」


「まぁ、、ね。」


チタマ世界の街の名前考えた奴、サイショノ街出身だろ!?


自分の街から近い順に名前付けてったけど、サンノ街決めてから「あら?もっと近くに街あるじゃん!どうすっかな、、あっそうだ!ニーテンゴ街にすれば良っか!!」ってなったのが目に浮かぶよ。



「その2人に連絡取れたりしないよね?」


「いえ。手紙のやり取りはしていたので、手紙を送る分には問題ないと思います。しかし今回の一件で私の名前はマークされているはずですので、別の名前で送れば大丈夫だと思います。」


「う〜ん。それなら直接行っちゃった方が、よっぽど早いかぁ。」


「そうでございますね。魔王様ならば、サンノ街くらいでしたら15分も走れば到着するかと。」


「だよねー。まぁ近いうち行ってくるとしよう。」


「はっ!お供致します。」


「そ、そうね?その時はお願いするよ?」


「はっ!」


「さて、後はベリアルの新居を何処に置くかだね。一応、残りの魔族達も集めるつもりだから、それなりに大きい住居を建てるつもりなんだけど。」


「っ!!?魔王様が自ら我々の家を建てて下さるのでございますか!?」


「うん、そのつもりだよ。考えてる機能としては、『魔族以外立ち入り禁止結界』、『めっちゃ健康ランド』、『ハイパーウォシュレット付き水洗トイレ』、『急速成長家庭菜園』、『訓練所的破壊不能オブジェクト』ってところかな。まぁ他に必要なものがあれば追加するし。」


「えっ、、と。健康ランドやウォシュレット等、初めて聞くものもございますが、魔王様が選び抜いた機能。素晴らしいものに決まっています!ありがたき幸せ。」


「ふっふっふ!素晴らしいものに決まってるというのは否定しないよ。期待しててね!」


「はっ!、、それで、肝心の場所についてでございますが、ここから南東に10kmほど行った所に、魔の大森林と呼ばれる場所がございます。」


「魔の大森林?」


「はい。その最奥に旧魔王城がございます。」


「ええっ!?」


俺は思わず驚きの声を上げる。


だってここ、サイショノ街だよ!?

魔王城近すぎでしょっ!!?



「旧魔王城をぶっ壊して、そこに新居を構えるって事ね?」


「はい。今さら魔の大森林に入ってくる輩はいないと思いますし、旧魔王城を解体すれば敷地面積は充分確保出来るかと。」


「ふむ。まぁ1度見に行ってみて、問題なさそうならそこにしよっか!」


「はっ!」



こうして、魔族避難場所の候補地も決まったので、見に行く前にある程度の建設計画を立てておく事にしよう。



まずは旧魔王城の解体工事。

これは試してみないと何とも言えないが、多分イケると思う。俺のアイテムBOXに、不可能は無いのだっ!!※ベリアルは入らなかったんじゃない、入れなかったのだ。俺が本気だったら入ってたよ!?だからノーカンな!



次は住居となる建物の大きさを考えなくては。


予定としては、マンションタイプの集合住宅にするつもりだ。

どデカい一軒家を建てて、シェアハウスにするのも考えたが、ぼっちプライベートを楽しみたい人もいるかもしれないからな!


さて、入居が決まっているのは今のところ10人であるが、増える可能性もある。

もしかしたら家庭を築いている者もいるかもしれないし、分裂増殖している者もいるかもしれない。


そういった点も考慮して、予め余裕のある大きさにするべきだろう。


なら、単身者用とファミリー用があった方が良いだろうな。


単身者用は2LDKあれば充分か。


問題はファミリー用だ。

子供の数・妾(めかけ)の数によって、必要な部屋数が変わってくる。


それを解決する方法、、そうだ!

3LDK・4LDK・5LDKと階層毎に違う間取りにするのはどうだろうか。

1階は5LDK、2階は4LDK、、といった感じだ。

普通は上の階に行くほど広リッチな間取りになっていくが、そこは実用性重視でいく。

子沢山のファミリーが上の階なんて、トラブルの発生元にしかならないと思う。


下に広リッチだと強度不足だって?大丈夫大丈夫。魔王の魔力で作るんだよ?500階建ての1階が、ワンフロア柱なしでも問題ないね!


それより、『俺は上の階じゃないと嫌だ!』とか文句言う奴がいるんじゃないかって事だ。

そんな奴は魔王の庇護下においておく必要なんかないよな?絶対的な力で黙らせるとしよう。



これで住居の方は大丈夫だな。



次は2棟のマンションと併設して建てる、みんな大好き健康ランドと訓練所の構想だ。


基礎体力トレーニングや筋トレが出来るジム。

各武器の訓練が出来るジム。

魔法の試し撃ちが出来るジム。

模擬戦が出来るジム。


いずれも破壊不能オブジェクト扱いになっているので、300kgのバーベルを壁に投げつけようが、大斧を床に叩きつけようが、エクスプロージョン10連発しようが問題なし!


もちろん、ジム内にいる間は人も破壊不能オブジェクトと化すので、真剣での模擬戦を楽しむ事が出来る。


ジムで汗をかいた後は、そのまま健康ランドでサッパリしよう。


訓練所の隣に建つ健康ランドへは通路が繋がっているので、わざわざ1度外に出て〜、、とかはなく、そのまま健康ランドへ入る事が出来る。



ここの売りは、なんと言ってもコレ!


特別な魔力を配合し、打身・切傷・捻挫・骨折・お肌の悩みから更年期障害まで、ありとあらゆる怪我と病気に効果のある魔湯風呂である!!


例えば、、

魔湯ジェットバスを腰に当てれば、即座に椎間板ヘルニアが完治し。

魔湯蒸気サウナに入れば、最強デトックスで無駄な脂肪とサヨナラ。


魔湯風呂以外にも、美味しい食事が楽しめるレストラン。

卓球、ビリヤード、フットサル、ボーリングで体を動かし、汗をかいたら魔湯に浸かってまったりと。



お一人様からご家族連れのお客様、子供からお年寄りまで楽しめる、夢の健康ランド!


お休みの際には、是非お越しくださいませ♪



、、ふむ。最後の方、なんかCMみたいになってしまった気もするが、金を取るつもりはないから安心してほしい。



っとまぁ、一先ずこんなところかな!


後は現地に行ってみて、そこの環境に合わせた作りにしないとだな!



新居構想がひと段落し、自販機で何か飲み物でも買おうと立ち上がる。

すると側で待機していたベリアルが、待ってましたと言わんばかりに話しかけてきた。



「魔王様、お出かけでございますか?」


「ん?ちょっとそこまでね。」


「かしこまりました。では、お供致します。」


「そんな大袈裟な。本当にすぐそこだよ?」


「いえ。魔王様に傷をつけられるような者はいないと思いますが、例えそうだとしても!配下が先に戦って死ぬべきなのです!!配下を残して逝くなど、あってはならないのですっ!!」


「そ、、そか。」


涙目になって熱く語るベリアル。

どうやら前魔王と大戦時に何かあったようだな?


まぁしかし、ここまで言われて断るのも悪い気がするし、、仕方ない。



「はぁ。分かったよ。」


「はっ!ありがとうございます。」


俺はベリアルを連れて、自販機の前に到着した。移動距離徒歩3歩であった。



「ん〜、どれにしよっかなー。たまにはパンタにするかな!」


と、アイテムBOXからお金を取り出し、パンタオレンジを購入。



「ほら、ベリアルも好きなの選んで?」


ベリアルにお金を渡し、自分の好きなのを買うように促す。


ベリアルはパンタグレープにしたようだ。



プシッ

「この白いキャップを反時計回りに回すと開くからね。」


「な、なるほど。かしこまりました。、、おっ、おお。これは画期的な仕組みでございますね!なるほどなるほど。」


「プハッ!美味いっ♪」


「では私も失礼して。、、ふはっ!!こっ、これは素晴らしいっ!!赤ワインに似た香りなのに、爽やかに軽い飲みごたえ。ピリピリとくる謎の刺激に大興奮でございますっ!!」


「ふふっ、気に入ったみたいだね。好きなだけ飲むと良いよ。他のも色々試してみてね。」


「はっ!」


俺はベリアルに100金貨(日本円で約100万円)渡し、ソファーに戻った。


自販機の前で子供のようにはしゃぐベリアルを見ながら、こう思った。



これで176歳。サスイセだな。


まぁこれだけ喜んでくれたんだ。初めてのお供が徒歩3歩で終わったのは、もう忘れてくれただろう、、と。


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