視点

 カクヨム投稿作品の中で初めて異世界長編を読み終えた。二十万字くらい。

 悪役のいない話が好きだ。悪役ではなく、登場人物それぞれに目的と利害があって対立する話。悪がいないかわりに欲があり望みがあり、それによって人が動き物語が動く。

 それと意思を持ち主体として生きる女性が活躍する話がジャンル問わず好きだ。

 あとなんだかんだみんないい人の話と、チョイ役にもスポットを当ててくれる話が好き。そういう作品だった。


 ランキングの超上位の作品ではなく、たしかに説明の拙さや展開のツッコミどころなどはあるが(自分のことは棚の最上段に上げています)、やはり読んでいて楽しいのは上手い作品ではなく好きな作品なのだ。

 そういう客観的な良し悪しをすっ飛ばして自分が好きだと思えるものを見つけられるのって、鑑賞者として最高なことだと思う。小説に限らず全ての創作物において。いくら創作をしても自分は鑑賞者の楽しみを絶対に忘れたくない。


 ダイナミックな展開の物語自体久しぶりに読んで、すごいなーとアホの感想を抱いている。国家単位でお話作るってすごい。アホの感想。

 何しろ国家を書けば必然的に政治を書くことになる。文学と政治って最も遠いところにあるものの一つではないか。


 しかし何より省みたのは、自分の書く視点について。メインの登場人物が翻弄される話を自分は書けていない。物語の展開に翻弄されるとか、他の登場人物にかき乱されて調子を狂わされるとか。

 主人公の発想の範囲を出られていないのだと思う。三人称の複数視点でもそうなのだ。三人称だろうがなんだろうが、一人称の視点でしか書けていないということなんだろうと思う。国家単位に話を広げる前にその視点を広げたい。抜け出したい。

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