やばくないかな




(あれこれやばくないかな)


 学校から帰宅中のかのえは、おせんべい屋でおせんべいとおかきを買って公園に寄り、ベンチに座って二柱の神様に供えながら、うっすらと危機感を抱き始めた。


 やばいな。

 これは庇護欲というべきなのだろうか。

 もしくはギャップ萌えというやつなのだろうか。

 恐ろしや強面の生物が自分が捧げたものを、感情を露わにして嬉々として食べる姿を見て、きゅんきゅんするのは、致し方ないと思うのだがどうでしょうか。


(あれもしかしてこの二柱の恋の神様ってあれかな?自分たちに惚れさせて恋の邪魔をする恋の神様なのかな?んんんんん?)


 邪魔をしないでくださいという願い事を聞き届けてもらうために供えているというよりは、もう自ら進んで貢いでいる感覚の方が強い、ように思える。

 実際、お小遣いをすべて、せんべいとおかきに費やしているのだ。

 正直に言おう。

 ヤバい。

 このまま傍におられたら、本当に虜になってしまわれるのではないだろうか。


(いやもう、銃口を向けられるのも、挨拶だってわかったし、多分、うん。それ以外、邪魔な言動も取ってこないし。っていうか。全然しゃべらないけど。うん。よし。もう)


 早く告白しよう。

 告白して、空に振られたら。


(この二柱の神様に慰めてもらおう!)












(2024.1.13)



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