#12 ドスケベ革命

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フリードリヒ・アレクサンダー 15歳

スキル:【勇者の卵】【1/3の純粋な神気】【無限精力】

属性:光

経験回数:2回

契約者:2名

◇マリア・ヴィクトール

◇サンフラワー・コン・ドミネリア

淫獣:なし

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マリア・ヴィクトール 15歳

スキル:【賢者】

属性:水

経験回数:1回

S値:5 M値:5

最近したH:ディープキスしながらラブラブ正常位

契約者とキスした回数:5回

契約者にイカせてもらった回数:5回

契約者:1名(MAX)

◇フリードリヒ・アレクサンダー

淫獣:なし

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サンフラワー・コン・ドミネリア 15歳

スキル:【姫騎士】

属性:火

経験回数:1回

S値:0 M値:15

最近したH:寝バックでおしおきセックス

契約者とキスした回数:2回

契約者にイかせてもらった回数:7回

契約者の精液を飲んだ回数:1回

契約者:1名(MAX)

◇フリードリヒ・アレクサンダー

淫獣:なし

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 ◇



「お、おう……」


 目を覚ました俺は、【淫紋契約】を経て確認できるようになったマリアとサニーのステータスを眺めながら何とも言えない気分になっていた。

 行為中の記憶を失くしたわけではない。

 だが改めてステータスを見るとめちゃくちゃ淡泊にプレイがデータ化されており、なんというか……めちゃくちゃエロい。『ハセアカ』にもこのシステムはあったけど、実際に自分がシたプレイが反映されると、感じ方がまるっきり違ってくる。めちゃくちゃエロい。大事なことなので二回言いました。


「まさか、二日目でヤっちまうとはなぁ……」


 まんまとクソ神の思惑通りになってしまっている気がして、少し悔しい。

 この悔しさを拭うためにも、俺は戦い続ける。好きでもない相手と【淫紋契約】せざるを得ない世界はやっぱり間違ってると思う。間違った理に甘んじるような主人公には、マリアやサニーに惚れられる資格はない。


「ちょっと散歩でもしてくるか」


 マリアとサニーはベッドで眠っている。初めての行為だったのだ。俺は【無限精力】を持っているが、彼女たちは違う。疲れて当然だろう。それに、まだ暗い時間だ。起こしてしまうのは忍びない。

 ズレていた布団を掛け直し、部屋を出る。

 静かな廊下を歩き、庭へ向かう。空にはきらきらと星が瞬いていた。


 夜の空気はやや冷たく、寝起きで熱を帯びた体を心地よく包み込んでくれる。コンパスで描いたような夜空の月を見上げ、ほぅ、と吐息を零した。


 こういうのも悪くない。

 エロゲーっていうより、エロ漫画の空気感だと思うけどな。


「フリード?」


 そう呼ばれて振り返ると、すぐ近くでサニーが目を擦っていた。ぴょんぴょんと寝ぐせが激しくついており、めちゃくちゃ可愛い。


「おお、サンフラワー。起きたんだな」

「……まあ、そうね。フリードが出て行くときに起きたの」

「あー悪い。起こしちゃったか」

「ううん、むしろ起きられてよかったわ。フリードと二人きりで話したかったから」


 とぼとぼとサニーが俺の隣までやってきた。

 こうして並ぶと、サニーの背の小ささを再認識する。教室や決闘の最中には『小さい』だなんて少しも感じなかったのに……と考えて、そのわけに気が付く。普段のサニーは自分を大きく見せようとしているのだ。その存在感によって。


「……なによ、姫のことをじろじろ見て」

「小さくて普通の女の子だな、と思って」

「…………」

「すまん、不敬な上にキモいことを言った。忘れてくれ」

「……イヤよ」


 サニーの声は小さかったのに、確かで頑固な意思が伝わってくる。

 俺が虚を衝かれていると、サニーはそっぽを向きながら言葉を続けた。


「フリードの言う通りだもの。姫は本当は小さくて普通なのよ。背は二年前からちっとも伸びてくれないし、体も……分かるでしょ?」

「控えめではあったな。それもよかったけど」

「~~っ」


 無乳とまでは言えないけど、マリアほど大きくもない。サニーは全体的にスレンダーな体型だった。


「と、とにかく! 姫は小さいわ。それに……強くもない。フリードに手も足も出なかったもの」

「決闘中は言い過ぎて悪かった。サンフラワーはちゃんと努力してる。それは間違いなく事実だ。【淫紋契約】に頼らせたくなくて、わざと酷い言い方を選んだだけだから、気にすることは――」

「――でも、弱いのは事実よ。そのことは認めなきゃダメだわ」

「そうか」


 俺がサニーを慰めることは、きっと彼女のためにならない。そう一足遅れて気が付いたから、大人しく口を噤んだ。


「姫は本当は、小さいし強くない。だけどそれでも、ドミネリア王国の第一王女なの」

「…………」

「たとえフリードに嫁いで王家を離れても、その事実は変わらないわ。この国の第一王女として、民の平和な日々を守る責務がある」

「……ああ」

「だから、姫は自分のことを『姫』って呼ぶの。姫が姫だってこと、絶対に忘れないように」

「そう、だったのか」


 たくさんヒロインが出るから、一人称を分けないとプレイヤーが混乱する。

 ……そんなシナリオ上の仕様だと思っていたから、サニーの一人称の理由なんて考えようともしてこなかった。

 だけど、そこには確かな理由がある。

 それは『ハセアカ』の仕様を説明するためのハリボテな設定かもしれない。


 けれど――。

 彼女は、彼女たちは、確かに生きている。

 抜きゲーのヒロインじゃない。この世界で生きる人間なんだ。


「サンフラワーはかっこいいな」


 心から言った。

 彼女は気高くてかっこいい。

 この子に見合う男になれるだろうか。そう不安に思うほどに。


「……それ、もうやめて」

「え?」

「だから、『サンフラワー』って呼ぶのをやめてって言ってるの!」

「でも『サニー』って呼んでいいのは家族だけだろ?」

「お母様とお父様とお兄様たちとマリアとフリードだけよ! ……将来、家族になるかは二人次第だから」


 しょぼしょぼと付け加えた言葉に、俺は思わずぷっと噴き出してしまう。


「悪い悪い。すごいかっこいいことを言ってたのに、急にサニーがいじらしくなったから。ギャップが可愛すぎて」

「っ、べ、別にいいでしょ! 姫は姫だけど、フリードたちの前では普通の女の子なの!」

「…………」

「それとも、姫が普通の女の子になるのはイヤ?」


 サニーが上目遣いで訊いてくる。

 そのしおらしさに、ついつい頬が緩む。


 気高くてかっこいい。でも、同じくらい普通の女の子。

 抱きかけていた妙な憧れが霧散し、彼女を一人の女の子として正しく認識できた気がした。


「嫌じゃない。お互いに普通でいられるような――家族みたいな関係でいよう」

「えぇ。改めてよろしくね、フリード」


 ……ところで。

 こんなことを言っている子がだいぶマゾ気質だったという大変エロい事実は、いったん胸にしまっておこうと思った。




――・――・――・――・――・――

エッッッなシーンは皆様のご想像にお任せします。ステータスで開示されるエッチな要素から思い思いのドスケベをご妄想ください!

面白いと思っていただけましたら、★★★評価で推していただけると大変励みになります!

簡単にできるので、何卒!!!

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