第7話

 一方、穴熊は白鳥しろとり温泉にやって来た。 宮崎県えびの市末永にある温泉。えびの市街地からえびの高原ヘ向かう途中に湧出している温泉。


 霧島連山の一角にある白鳥山の中腹、標高600 - 700メートルの山中に位置。


 えびの高原から県道1号を市街地に向けて下る途中に、「白鳥温泉 上湯」と「白鳥温泉 下湯」の2軒の温泉宿が存在する。どちらともに日帰り入浴可能。


「上湯」は観光客向けで、「下湯」は地元民向けである。開湯は江戸時代以前と思われる。しかし、征韓論に敗れた西郷隆盛が当地で心身を癒したという記録が残っている。

 

 ♨単純酸性泉、単純温泉

 ♨源泉温度 77℃

 ♨効能:神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病など。


 夕暮れが迫る中、白鳥温泉は穏やかな湯気に包まれていました。ひときわ深まる静寂の中、穴熊は友人たちとともに訪れました。『ひょうすべ』というのが宿の名前です。


 温泉に浸かりながら、突如として鋭い悲鳴が響き渡り、湯船に浮かぶ一人の男性が血まみれで発見されました。周囲の恐怖に包まれる中、穴熊は冷静な観察力で状況を把握し、探偵としての本能が目覚めました。


 彼はまず、現場を詳細に調査しました。血痕、水しぶき、そして不自然な死の様相。穴熊は友人たちにも話を聞きながら、疑わしい動きや言動に気付きます。


 白鳥温泉の中には、過去の確執や秘密が渦巻いていました。穴熊は、一つ一つの証拠を組み合わせながら、被害者が何者か、そして犯人が誰かを明らかにしていきました。


 絡み合う人間関係や事件の背後に潜む陰謀。白鳥温泉は平穏な表面の裏に秘められた闇を穴熊が浮き彫りにしていきました。


 被害者は『ひょうすべ』のオーナー、堂島健太郎どうじまけんたろうで、地元の名家に生まれ育ちました。裕福な家庭に育ったが、ビジネスの失敗により経済的な問題に直面し、彼の人生は転落の一途を辿っていました。堂島は温泉旅館を立て直すために奮闘していましたが、その過程で複雑な人間関係や闇が絡まり、最終的に殺害される運命に翻弄されたのです。堂島健太郎の死因は、温泉浴槽での窒息でした。彼は何者かによって浴槽に押し込まれ、水面下で息絶えたのです。

 

 血が喉の奥に詰まっての窒息であると後に判明する。


 容疑者候補として浮上したのはいくつかの人物でした。まず、堂島の経済的困難に関わる取引相手や競合業者が浮上。また、旅館内での人間関係の複雑さから、従業員や他の宿泊者も調査対象となりました。穴熊は緻密な推理を通じて、真相を解き明かす手がかりを見つけていくことになります。

1. **競合業者 - 佐藤蓮太:**

- 地元で白鳥温泉に新しい施設を建てる計画を進めており、堂島の失敗が自身のビジネスに有利になる可能性がある。


2. **取引相手 - 森田財閥の御曹司、森田悠斗:**

- 堂島と経済的な取引をしており、堂島の破産が財閥に悪影響を及ぼす可能性がある。


3. **従業員 - 旅館の支配人、井上美香:**

- 堂島との関係が険悪で、経営の不手際に対する不満を抱いていた。また、堂島が個人的に持っていた秘密を知っていた可能性がある。


4. **宿泊者 - 謎めいた美女、紫藤鈴子:**

- 堂島と何かしらの過去の因縁があり、彼女の目的が不透明。行動が不審で事件当夜、彼女が不在だったことが注目されている。

 

 

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