第40話 怪しい人達がいた①
下水道の洞窟に入っていく男達を尾行することにした僕はスキルを使う。
「こんなもんでいいかな」
自分の体そのものに【元素操作】を行使し、体を地面から数センチ浮かした。これで足音は聞こえないはずだ。
僕は宙を飛びながらある程度の距離を保ちつつ男達を尾行する。
「おい、手筈はどうなってる?」
「準備はバッチリだ」
「俺達、陽動部隊が機能すれば間違いなく目的は果たせるはずだ」
「そうすれば大金と魔物は俺達のもんになるな」
男達の会話を盗み聞きしていたがイマイチ何をしようとしているのかは分からない。だが、物騒なことをやるには違いない。これは阻止する必要があるのかもしれない。
「おい、誰にも跡をつけられてないだろうな」
「つけられてねえよ、それにつけられても消せばいいだろうが」
フードの男達は僕がいる方向を振り向く。
「ほらな誰もいないだろ、さっさと行くぞ」
僕はいつもの如く体を粒子化させて他者から視認されないようにしていた。
追跡を続けると洞窟内は三つの通路に分かれており、男達は右方向へと進む。
右方向には鉄柵があり、奥には進めない。ちなみに鉄柵の手前に不自然にも木箱が一つあった。
男達は鉄柵の前で腰を下ろしたり、壁に背をつけて会話を始めていた。
僕は粒子化を解いて壁越しに男達を覗く。
「予定の時間になりゃ、これで適当な場所を爆破させる」
一人が木箱の中から手のひらサイズの八角形のクリスタルを取り出す。クリスタルの中の炎が揺らめいており光を放っていた。
あれは強い衝撃が加わると爆発し、人一人を吹き飛ばす威力を誇るマジックアイテム――
どうやら彼らはこの町でテロを起こそうとしているらしい。
「‼」
僕は目を大きく見開く。
最初に火晶石を取り出した男は開けた木箱を持って周囲の仲間に中身を見せる。僕の見間違えでなければ木箱の中には火晶石がパンパンに詰まっていた。あんなものを爆発させたら人一人どころか家を数十軒、消し飛ばしてしまうだろう。
さすがに看過できない事態だ。
「よし、そろそろ時間だ。各々、火晶石を目一杯持て!」
「!? 待ってくれガキがいるぞ!」
僕は男達の前に姿を現した。
「迷子か?」
「どうする? 適当に追い出すか?」
「今の話を聞かれてるかもしれない。抵抗するようなら殺すか」
この殺人を厭わない発言からして普通の人じゃない。人を手にかけることに慣れた集団だ。
相手の人数は五人。手っ取り早いのは『元素分解』で相手を消滅させることだが。この人達には聞きたいことがある。
「なぜ、町を爆発させる必要があるのですか?」
「このガキ話を聞いてやがったな」
「適当に殺すか」
男達は懐から剣を取り出す。剣の刃は煌めいており、手入れもしっかりなされているのが分かる。有象無象の盗賊ではなさそうだ。
「お前らガキが相手でも分かってるな?」
「分かってる誰だろうが手を抜かないそれが俺達の掟だ!」
一人の男が横手の壁を蹴って距離を一気に詰めてくる。
気付けば男は僕の目前にいたが。
「ぐあああああああっ!?」
男は悶絶し倒れた。
「何が起きた!?」
男の仲間は驚嘆していた。
僕は【元素操作】で下水道の水を操作し、レーザービームのように男の太ももを打ち抜いていた。
次に僕は倒れた男を無力化するために。
「『元素分解』」
武器もろとも服を消し去って全裸にした。
「い、いやん⁉」
男は両手で自分の局部を隠していた。
「さて」
僕は残り四人の敵を見据える。
「なんだこのガキは!?」
「魔力を感じなかった! 今の芸当はどうやったんだ」
「また水を集めやがったぞ!」
僕は水を周囲に集める。下水なので少し臭いが仕方ない。
そして水で四つの剣を作って、相手に剣先を向ける。
すると、男達は一斉に口を開く。
「「「意思を糧に駆動せよ身体よ!」」」
身体強化の魔法を唱えていた。というか魔法まで使えるのか、ますます危険な集団だ。
男達は様々な方向から攻めてくる。宙を跳ぶ者、右の壁を蹴る者、左の壁を蹴る者、真っすぐ走ってくる者、それぞれ剣を振るおうとしてくる。
「『元素分解』」
「!?」
男達が剣を振るおうとした瞬間、その剣を消した。彼らは面食らっていた。
「貫け」
それから四人の男達の足や腕を作った水の剣で貫いた。
「「「ぎゃあああああああっ!?」」」
男達は絶叫しながら倒れて苦しみ悶えていた。
さて、これから彼らの目的を聞こうか。
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