第24話 村を案内してみた①
女神さんと精霊女王さんが僕に頼みごとがあるらしいけど、一体何なんだろう。
僕は女神さんの言葉を待った。
「私達をレガリアの村に案内してください」
「村をですか?」
意外な頼み事だった。
「勝手に行けばいいのでは?」
「それはそうですけど! いきなり正体不明の美女がいたら不審がられるじゃないですか」
「それもそうですね」
でも問題はそれだけじゃない。
「女神さんと精霊女王さんの容姿って現世の人に像として伝わっているので大騒ぎになりますよ」
特に信仰心の深いレガリアの森の民はパニックに陥るだろう。
精霊女王さんは人差し指を鼻に当てて悪戯っぽく笑う。
「その点は大丈夫ですわ。さっき渡した本の二四ページを見てください」
「はい」
僕は先ほどもらった呪文書を
子供化の呪文:『ビチビチビチ! ぱーにゃあああ!』と唱えることで子供のときの姿に戻れます。
なるほど。呪文が変なのは置いといて子供の姿に戻れば問題ないのかもしれない。
「女神さんと精霊女王さんを村の皆にどう紹介すればいいのでしょう?」
「そうですね……」
女神さんは頬に手を当てて考え込む。
「女神ルナティックと精霊女王レガリアの使いの者ということにしましょう。レガリアの化身という設定の
「分かりました。皆にはそう伝えることにします」
僕は女神さんの頼みを承諾する。理由は聞かなかった。
女神さんらがレガリアの村を見たい理由を自ら語らない限り、わざわざ詮索することではないと思ったからだ。
精霊女王さんは女神さんと向き合って右腕を円を描くように動かす。
「ビチビチビチ! ぱーにゃあああ!」
子供化の呪文を唱えると、二人の体はみるみる小さくなっていく。
そして着ている服も二人のサイズに合わせて小さくなっていった。
麗しい女神さんも神秘的な精霊女王さんもあどけない顔になっていた。美女が美少女になった状態だ。外見年齢は一二歳ぐらいだろうか。
「村では二人のことをなんとお呼びすればよいのでしょうか」
「私はルナティックの二文字をとってルナでいいわ!」
女神さんもといルナはドンっと胸を張る。なんだか言葉遣いまでも幼くなっている気がする。肉体に精神が引きずられているのかもしれない。僕自身も転生してからその節がある
「精霊女王さんの方は?」
「レガリアという名前ですから、うーんっと少しもじって」
精霊女王さんは宙に視線を漂わせたあと。
「レリアという名前でお願いしますわ」
「分かりました、ではルナとレリア、改めてよろしくお願いします」
「よろしく!」
「よろしくですわ」
その後、僕達は神々のいる世界から神樹内部にある女神像の前へと移動した。
「へぇ~いいところに私の像を飾ってますね」
女神さんは自分の像を見ていた。
しかし気になる点が一つあった。
「この像……本物より胸が大きい気が……
僕は軽くチョップをルナから食らった。
「それは言わない約束」
「詐称したバストを現世の人に言い伝え残したというわけですか」
「べ、別にいいでしょ! そうした方がその女神感がでますからね」
「別に悪いとは言ってないですよ」
精霊女王さんは僕達のやり取りを見て微笑んでいた。
「ふふふふっ」
さて、まずはこの二人を連れて村を歩くと皆が驚くだろうからまずはラッカー長老辺りを連れてきて事情を説明しよう。
――――ラッカー長老を連れて来て事情を説明した。ついでにグスタさんも付いてきていた。
僕は女神さんと精霊女王さんの使いであることを説明すると。
ラッカー長老とグスタさんは口をあんぐりと空けたあと。
「おおおおおおお!」
「ぬおおおおおお!」
言葉を出すことすらできないほど驚いていた。
「「この村にお越しいただき、ありがとうございます‼」」
そのあと、二人は両膝をついて頭を下げていた。
「ふふん、くるしゅうない」
ルナは片手を腰に当てて得意気だった。女神とは思えない姿だ。
「すぐさま皆を集めてきますのじゃ!」
「カシュー様! 申し訳ないが村の広場にその方達を連れてくれると助かるのですぞ!」
二人は大慌ててで女神像の部屋から出て行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます