第14話 クリア報酬
「おめでとう、2人とも」
E級にも匹敵するオークを、たった2人で打ち倒すなど夢にも思わなかった。しかの彼女たちはいかなる危険も見せず、まるで圧倒するかのような圧勝を見せたのだ。
戦闘前の彼女たちの表情は、まるで世俗の穢れを知らない処女のように純真で、少し甘さも感じられた。しかし、戦いを経て変わった彼女らの顔には、固い決意が刻まれていた。もはや初戦の不安は影を潜め、代わりにその目には壮大な覚悟が宿っていた。
「ふぅ、大勝利よ!!」
「勝った、勝ったよ!!」
ブイピースをする詩葉に、興奮のあまり俺に抱きついてくる黒波先輩。たわわな胸部が顔面を包み込み、マシュマロのような柔らかさと少しの汗臭さも合わさって、まるで極楽浄土にいるような多幸感が押し寄せる。
ぷよぷよのお腹も……最高だ。
そのお腹のおかげで身体が完全に密着し、全身で黒波先輩を感じることができる。黒波先輩の重さも合わさり、まるで世界の全てが黒波先輩で埋め尽くされたような錯覚まで覚えてしまう。ぽっちゃり女子……最高!!
視界が完全におっぱいに包まれたせいで見えないが、きっと詩葉は顔を真っ赤にして怒っていることだろう。胸の脂肪に耳が塞がれているが、彼女の声がかすかにくぐもって聞こえてくる。その怒号が。
「あ、ご、ごめんね!!」
唐突に、極楽は終焉を迎えた。
先輩が離れたことで、現実世界が戻ってきた。俺の予想通り、詩葉は顔を真っ赤にしていた。
……残念だ。もっと堪能したかった。
だが同時に、終わりを迎えてくれて助かったとも思う。あれ以上抱きつかれたら、俺の心の中の獣が牙を剥いていただろう。情欲のままに先輩を貪り尽くし、取り返しのつかないことになっていたかもしれない。事実、股間の
「ご、ごめんね!! 興奮しちゃって」
「い、いいえ、全然大丈夫です」
「み、醜い脂肪を押し付けちゃって、い、嫌だったよね? 臭かったよね?」
「い、いいえ、最高でした」
ビシッと親指を立てる。
先輩は顔を真っ赤にした。
「……アンタたち、さっさと宝箱開けるわよ」
呆れたように、詩葉が声を発した。
そうだ。先輩も最高だが、これは早急に確認しないと。説明欄によれば、宝箱は1時間以内に解放しなければ消失するらしいからな。
「し、志苑くん……」
「? どうしました?」
「こ、今度……またしてあげるね」
顔を真っ赤にし、コッソリ耳打ちしてくる先輩。そんな先輩に俺は……理性を押さえつけることで精一杯だった。もちろん、断ることなどできなかった。
……耐えられるだろうか。
……理性を保てるだろうか。
……獣にならずにいられるだろうか。
……自身がない。
少しポカンとしてしまうが、自分の頬を叩く。今はとにかく、宝箱を確認しなければ。理性うんぬんに関しては、また後で考えればいい。あぁ……楽しみだ!!
「さて、開くわよ」
そして詩葉は、宝箱を開いた。
【F級スキル:身体強化を獲得しました】
「……被った」
まさかスキルが被ってしまうなんて。
被ったスキルは統合され、より強力なスキルになると説明欄には記載されていた。だステータスを見る限りレベルが上昇した様子は見受けられず、強くなった実感もほとんどない。
おそらく普通のプレイヤーであれば、この統合が唯一スキルを強化する方法なのだろう。ソシャゲでよくあるようにF級のスキルがF級+になるような感じなのだと思う。俺はレベルアップできるので、F級+になったところで実感が湧きにくいだけなのだろう。
「ふ、2人はどう?」
「ふふん、聞いて驚きなさい!!」
「い、い、E級になったよ!!」
興奮気味の2人はスマホを見せてくれた。
……興奮のあまり再度抱きついてくれると思ったが、さすがに二度目はなかった。残念だ。
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【名 前】:
【ランク】:E
【スキル】:双虎流闘術
身体強化
闘 気
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─────────────────
【名 前】:
【ランク】:E
【スキル】:闇属性
魔力増殖
自動魔力回復
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「おぉ、スゴイな」
2人は続けて、スキルの説明をしてくれた。
《闘気》は身体にオーラを纏って、身体能力を上昇させるスキルらしい。前衛の詩葉に相応しいスキルだ。
雨凛の《自動魔力回復》はその名の通り、自動的に魔力が回復するスキルだ。普通に過ごしていても魔力は回復するのだが、このスキルの恩恵でその回復量が格段に上昇したらしい。これまでは枯渇した魔力の全回復には24時間かかっていたが、このスキルのおかげで20時間程度で全回復するようになったようだ。
「つ、強くなったな、2人とも」
「そうね!! 最強よ!!」
「ど、どんな敵でも、倒せちゃうよ!!」
スキルの獲得はもちろん、オークを倒したことでも合わさり、自信をつけた様子だ。慢心とは違って、これは素晴らしいことだ。
「これで全部終わりね」
「あ、あぁ、そうだな」
「じゃ、じゃあ帰ろうか!!」
そして俺たちは、帰還用ゲートを潜った。
帰り道も黒波先輩は、詰まってしまったが。
どデカい尻が詰まる様は……エッチすぎた。
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