第4話

「精…精霊王?」

何を言っているんだ…


「この鳥のことか?……ですか?」


「私は……ただの…精霊です」

では大精霊達が精霊王と呼んだのは私ということだ。


「私はしがない村人です!!!」

そう言い残してダッシュで逃げる。

まずい、非常にまずい。面倒事の予感しかしない。


 しかし通ってきた道は草木が生い茂り通らなくなってしまっている。


「説明してやるからちとまて」

話しかけてきたのはおそらく炎の大精霊だ。


「まて、お前が説明すれば精霊王はもっと混乱するだろう。ここは石か光か草が説明しろ。」


「なんだとぉ氷、わしの説明に文句でもあるのか?」


「そういう話をしているのではない、炎よ」


「うるさい炎、氷」


「なんだぁ、草。お前も文句があるのか?」


 喧嘩……してるのか?

さささっと水の大精霊がこっちによってくる。

「精霊王、ここは私がご説明いたします」


 そうして、水の大精霊からとっってもわかりやすい説明を受けた。


 大精霊は全員で10人いる。

炎 水 草 風 氷 石 雷 光 闇 そして禁忌


 精霊を統一する存在が大精霊。その大精霊を統一する存在が精霊王ということだ。


 精霊王は禁忌の大精霊が務めると決まっている。

しかし、禁忌の精霊が精霊の森に生まれ落ちることはほぼないらしい。


「禁忌の大精霊!? その禁忌の大精霊に会えませんか?」


 私達にかかっている呪いはおそらく禁忌。

禁忌の大精霊ならとくことができるかもしれない。


 炎の大精霊が大声で怒鳴った。

「だから!お前がその禁忌の大精霊なんだろ!?!?」


「炎!精霊王に失礼」


「ちまちまとうるさいぞ草!前の精霊王ならこんなことすぐ許してくれたぞ?」


「炎さん、精霊王のそばで前の精霊王の話をするのは失礼ですよ。」


「水もうるさい!それぐらい良いではないか!」


「うるさいのはお前だ、炎!」


 またもや喧嘩を始めてしまった大精霊達を無視して、今度は石の大精霊が説明してくれた。


「貴方からは禁忌と前精霊王の気配がします。それが貴方が精霊王の器だという証拠です」


 いや、禁忌の気配がするのは呪いのせいでは?

「でも気配だけで決めてしまうの?それに、禁忌の気配がするのは色々心当たりがあるし……」


「では試せば良いではないか」

炎の大精霊がいつの間にかこっちに近づいていた。


「これを壊してみろ」

赤と黒の入り混じった独特な色の石を渡される。

大きさは私の頭と同じくらいだ。


「なんの魔法を使ってもいい、とにかくそれを壊せ」


 しどろもどろしながら石に魔法をかけた。

最初は炎魔法を使って燃やそうとしたが、石には傷一つつかなかった。


 ここは私の得意な闇魔法で壊してみようと思い、闇魔法の詠唱をする。


「闇は燃え、光はとどかん」


 闇魔法をかけた瞬間石は粉々に壊れた。


「今のが証拠じゃ」


 ?????


「お主が今使った魔法は禁忌魔法だ」


 ………え?


「炎の言う通り、それは闇魔法ではなく禁忌魔法だな」


 ええええぇぇ……


「禁忌魔法が使えるのじゃ、お主が禁忌の大精霊ということは一目瞭然だろう」


 それに…と草の大精霊が説明を付け加える。

「その石は禁忌の魔法で作られたものです。炎や闇などの半端な魔法では壊せませんよ」


「そういうことだ、じゃ、これからよろしくな精霊王」 


 こうして私はなぜか精霊王になってしまったのだった。


―――――――――――――――――


「あ!アマノガワ帰ってきた!」

コウが叫ぶ


「おかえり、どこ行ってたんだよ!」

「心配したよ?」


 次々にクラスメイトに詰め寄られた。

「ご、ごめんごめん精霊達と話をつけて来たんだ」


 みんなの顔が一気に固くなる。

「ここにはいくらでも暮らしていいみたいだ…そうだよね?」


 心配になって、一緒についてきてくれた草の大精霊の方を見る。


「えぇ、精霊……」

「ああああああああああ!!!!!」


 慌てて草の大精霊の言葉を遮ってコソッと大精霊に耳打ちをした。


「ちょっと……私が精霊王だとか言わないでね」

「何故です?貴方は立派な精霊王ですよ?」


 はぁ、とため息をついて話を続ける。

「だって恥ずかしいじゃん!いきなり私、精霊王だったんですってみんなにいうの!とにかくみんなには私から話しておくから!」


 草の大精霊は不承不承と言った感じで言い直した

「えぇ……いくらでもいてもらって結構ですよ」


 その言葉に全員が喜んだ。

「やった!もうあいつらに追われなくていいんだ!」

「よっしゃぁぁぁあ!!」


 こうして、無事にタザール王国から逃げ出すことができた。



*******


「王よ!どうしましょう…異界人達全員に逃げられてしまいました!!」


「なぜ教祖は見張っていなかったんだ!およそ魔導士500人分の損失だぞ!」


 教祖が冷や汗を垂らしながら必死に喋る。

「ま、待ってください。異界人達の行方はもうわかっています。精霊の森です! あとは精霊達に侵入の許可をもらい探せばいいんです!」


「果たして、精霊達はそう上手く協力してくれますかね?」


「連れ戻せなかったらお前が責任を取れ!」


 ドン!!!!!

王が杖を思い切り床に叩きつけた。


「教祖よ、明日すぐに連れ戻してこい。連れ戻せなかったら……わかっているな?」


「は、はい!王よ。早急に連れ戻してきます!」


 ニヤリと教祖は心の中で笑った。

(あのクソガキどもめ、呪いの存在を忘れたか?)


 教祖は教会へ向かった。


 呪いを作動させるために

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