ポーラン村の第一村人
「それではお父様、私はさっそくポーラン村の皆さんと話をしてみたいと思います。
最初は希望者を絞って、人気のありそうなお仕事の訓練から募集します。」
子供相手なので、最初からうまく行くとは誰も思わないだろう。
少しずつ、そして成功例が出れば流れは変わるはずだ。
まずは、どんな仕事の訓練であれば需要がありそうか、村の人達に聞いてみようと思う。
「村長さん、急に呼ばれましたがどうしたんですかい。」
アリアナさんが村役場の応接室を貸してくれたので、立ち会ってもらい、村の比較的昔からいる数人に声をかけてもらった。
管理人を除けば第一村人である。
「皆さん、今日は紹介したい方がいましてお呼びしました。
隣にいらっしゃるのがレイシア嬢、お仕事の紹介をする商人のお嬢様です。」
「こんにちは、レイシアです。
アリシア商会の方から来ました!
今日はみなさんのやりたいことを聞かせていただけたらと思いまして、参りました!」
アリアナさんに頼んで商家の娘ということにしておく。
「うーん、やりたいことねぇ。
お嬢ちゃん、一応この村の状況は分かってるんだよな?
やりたいことをやるとか、そういうことは分からんその日暮らしみたいなやつらばっかりだぞ。」
気の良さそうなおっちゃんだ、小娘の言うことでもちゃんと真面目に反応してくれる。
「はい、少しばかりですが、状況はお聞きしています。
今のままではもちろん、そのようなことは叶わぬことも。
なので、訓練を行いたいのですが、まずはみなさんのやりたいことをお聞きしないで始めても長続きしないと思いまして。」
「ふぅむ、訓練か。
これまでそういうものは軍隊くらいなもんだと思っていたがなぁ。
例えば大工になりたいってやつがいたらどうするんだい。」
「大工はいいですね、土木は国力に繋がります。
これまでだと大工は親方の背中を見て、怪我をしながら時間をかけて覚えるというのが普通だったと思いますが、これはあなたの感覚とあいますか?」
「あなたはむず痒いな、俺はオッズだ。
確かにそんな感じだ。
大工もそうだがとにかく職人は背中で語るもんだ。
コネもツテもなく仕事を覚えるのは大変だぞ。
ケガも多いしな。」
「大工仕事は、設計、測量、材料の切り出し、手配、構造、内装などの細かい流れに分かれており、それを一人で一気に全部覚えよう、教えようとするから稼ぎを出せずに修行が大変です。
しかし、国の大きな工事に入るのには実は全部の知識は必要ありません。
一分野で稼ぎが出せれば、それを足がかりに他の分野も学べるでしょう。」
「お嬢ちゃん詳しいな、大したもんだ。
しかしだ、国の仕事といえば、ベテランしか呼ばれないじゃないか。
そこには割り込めないぞ。」
「そこが商会の仕事です。
忙しいところの情報を商会の情報で掴み、滑り込んでもらいます。
ケガをせず、活躍すれば結果で次を掴めるはず。」
さて、予想していた質問だったが感触はどうだろうか。
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