ポーラン村の人材開発

ポーラン村での視察をしてしばらく。

やはりポテンシャルの数字が高い者たちが目立つ。

くすぶっているのだろう、まだ見ぬ何かのポテンシャルがあるはずだ。

「お父様、アリアナさん、少しよろしいですか。」

「どうしたレイシア、何か気づいたか。」

村人たちのポテンシャルを開花させるには、一定の訓練を施さなければならないだろう。

その中でうまくポテンシャルを引き出してやるのだ。


「アリシアお姉様がここの方々に雇い口を紹介することは分かりました。

しかしこのままでは、どのような適性があるかわかりません。

そこで職業訓練を実施したいのですが。」

「職業訓練とは、アリアナ、何か思いつくことはあるか。」

「普通、仕事とは下働きから始めて、教わりながら覚えるものではないのですか。」

「私もそう思うが、レイシアは違うと思うのか。」

「ええ、やはりどうやっても人には向き不向きがございます。

ただ、できる人間をそのまま右から左へと紹介するのでは当然すぎて商売にはなりません。

ここの村の人たちにも向き不向きがあり、それをこの村でちゃんと見つければ紹介しやすくなると思うのです。」


「ふむ、理想としてはよく分かった。

仕事を選ぶなど贅沢ではないかと思う者もいるだろうが、私は適さないことを無理にやらせる非効率なことは望ましいとは思わない。

しかし、適している仕事であるとどうやって判断するのだ。」

「まず、やりやすいのは指示が出来るか、言われたことが出来るかなどの大雑把な区分けをしましょう。

どの階層でも、ちゃんと強みが分かったうえで紹介をすればいずれも需要があるはずです。」

「それは理解できるな。

確かに、どこで習ってきたのか不思議と人に動いてもらうのが得意な者もいる。

しかし、手仕事の得意さとはまた違うのだ。」


頭に浮かべるのはコンピテンシーという概念だ。

パフォーマンスが優れている者たちが共通して持っている行動特性、能力などをやってもらう仕事の種類やランクに分けて整理したものが、一般的に言われるコンピテンシーという概念になる。

前世ほどに分業や集約化が進んでいれば、こういった研究もなされ、最適な職場への配置を考えることもあるのだろうが、この世界では、一般的に仕事を選ぶという発想はない。

たまたま才能に目を付けられて、親がやっていて、などなど、生まれたときからおおよそどのような人生か決定づけられているようなものなのだ。

この人はこの仕事を任せたら活躍してくれるだろうか、という視点で適した仕事にたどり着けるものはそう多くないからこそ、ただただ向いていそうだと紹介しても相手は納得しない。

ましてこの世界ではまだない怪しげな商売だ、よほど工夫をして、やってもらいたい仕事に向いていると思えなければ、ちょっと雇ってみようとはならない。

このコンピテンシーによる振り分けをまずはやっていこうではないか。

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