弟レイオスくん/【レイオス視点】レイシアお姉様
レイオスくんは、私にとっては可愛い弟だ。
好き嫌いはない、素直で、少しおとなしいがそれもいいと思う。
攻略対象のレイオスと比べると印象が全然違う。
お姉様との関係も今のところは非常に良好だと思う。
たまに一緒に遊んでいるのを見かけるし、私もよく混ざっている。
しかし、本音を言えば、私はレイオスくんとどう関わったらいいのかよく分からない。
レイオスくんは、このままいけば堂々と陽の下を歩ける、そういう未来がある。
わざわざアリシアお姉様の事情に巻き込む理由がない。
アリシアお姉様はどうやっても巻き込む、そうしなければ救えないから。
私の願いのためには、レイオスくんとは道を違えることになるだろう。
そう考えてしまうと非常に複雑な気持ちになるのだ。
ゲームでは、アリシアとレイオスの関係は冷えたものだった。
というよりもそう育てられたというほうが正しいのだろうか。
そろそろレイオスくんの魔法の才能は普通の域を超える。
子どもとはいえど、期待するには十分な才能がある。
お父様は間違いなくレイオスくんをアリシアお姉様と私とは線を引いて、仮に裏の仕事が明るみに出ても家は存続できるようにするはず。
なんていうことを考えて、私はレイオスくんをある意味で放置していた。
私は、ある意味でゲームの強制力を信用し、甘えていたのかもしれない。
しかし、どうしようもなかったとそう思わねばやってられないくらい、無茶苦茶な未来が待っていようとは、わずかばかりも思ってはいなかった。
【レイオス視点】
ぼくはレイシアお姉様が、正直に言ってしまえば苦手だった。
目が合っても、どこかぼくを見ていないようだった。
何か違うものを見ているようなそんな感じだ。
なんだか、嫌な気持ちを覚えたのはぼくに魔法の才能があると分かったとき。
アリシアお姉様は初めて会った時から、すごく仲良くしてくれた。
あまり恥ずかしくて口には出せなかったけど、ありがとうともっと言いたかった。
レイシアお姉様もよくしてくれたけれど、今思えば、やっぱりどこか別のところを見ているようなそんな感じだった。
ぼくに魔法の才能があると分かって、大人たちはすごく褒めてくれるようになった。
たまに偉い人が来て、お父様とそういう会話をしていたのを聞いたこともある。
アリシアお姉様もそうだった。
ぼくは、ただただ好きで好きで魔法をやってきたと、レイシアお姉様がああでなければそう思っていたのかもしれない。
ぼくが魔法をどれだけ上達しようと、レイシアお姉様だけは驚きもしない、何も感情が見えない。
もちろん周りに合わせて拍手をしてくれたり、褒めてくれたりということはあったけれども、まるで、ここまでできて当然だと分かっていたかのように見えてしまう。
ぼくはそれが本当に悔しかった。
ぼくは、周りにどれだけ褒められようと、レイシアお姉様の想像だけは超えることができない。
使用人たちが最近すごく仕事を楽しそうにするようになって、レイシアお姉様もそれをすごく評価しているのが分かる。
使用人たちには向けているその目を、ぼくにだけは向けてくれない。
家族なのに、ぼくは見てくれない。
レイシアお姉様にぼくを見てほしい。もっと。
どうすればよいのだろうか。
そんなことを考えていたとき、ぼくの頭の中にとある光景が浮かんできた。
ぼくは、どうやってこの光景にたどり着くか、考え始めていた。
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