当然魔法

「カーラ、エリザ、あなたたちはすごいわね。

私は、ただほんの少しばかり、二人の可能性にヒントをあげただけなのに。」

本当に二人はすごい。

前世でもこんな素晴らしい人たちの可能性を切り拓く体験がができていれば、もっと違うことが出来たのだろうか。

私はもっと人間の可能性を信じて、頑張れたのだろうか。


「いいえ、お嬢様、お嬢様の為したことは私達にとってはほんの少しではありません。

私は単なる一人のメイドとして働いていく、普通にそうやっていくものだと思っていました、エリザだって同じだったと思います。」

「はい、私も隣国の言葉など本当にただの趣味と思っていましたから、仕事として与えてくださり、自分の可能性を見つけていただきました。

それに貴族のご令嬢としても驚くほどに優秀なレイシアお嬢様ならば、私以上にを達成されてしまうのでしょうね。」

普段ならひぇぇ買いかぶりすぎ、むしろ嫌味か?と突っ込みたくなるような、上司から言われたら間違いなくイラっと来そうなことをあまりにも悪気無く、むしろ無邪気に信じているきれいな目で言うものだから、そして隣のカーラも縦に首を振りすぎてどれだけ信頼されているのか、本当にできて当然なのか?と少しばかり、いや今ばかりは本当に当然できるようになれるのかもと思って、だからだろうか。


当然という言葉が頭にガンガンと響く。

激しい頭痛だ、まるで頭に直接大量の知識を流し込まれているような、そして脳裏に大量の映像が流れてくるような感じがして、気持ち悪くなってくる。

視界の映像は、ひたすらに文字、なんだこのミミズのような文字はと思ったが、違う、段々と意味のあるものに見えてくる、分かる、チャレ〇ジでやったところだ?

ペンを持つ手、これはエリザか、髪を梳かしてもらうときに何度も見た手だ。

エリザの視界が見えている?

知識が共有されている?

私がができることはだから?

なんだこれは。

社会構成主義なんて言葉をちらと勉強したことがあった。

世界は私たちの認識で構成されていると。

しかし物理的な限界まで超えてくるとは思っていなかった。

この世界は違う?

もしかして誰もがと認識したことはにそうなる?

いや、おそらく使用人たちにジョブを任命した私の能力がこれの一部なのか。

私が共通認識を作れば、それに現実がついてくる。

それはまさにとでも呼ぶしかない、信じられないような魔法だ。

こんな魔法が私の魔法ならば、ファンタジーな魔法が使えないのも納得した。

いきなり手から水やら火やらが出たりすることは、まだ私にはではないから。

そうかそうだったのか。


カーラとエリザにゆすられている気がする。

「「お嬢様!お嬢様大丈夫ですか?」」

まだ視界が酔っているかのよう。

気持ち悪い、フラフラするが、安心させなくては。

「大丈夫よ、カーラ、エリザ。

ところでエリザ、オリガ小国家群の言葉で何か私に話しかけてもらえる?」

あghヴぁおすあえhごいあhさお嬢様、体調は大丈夫ですか?

だげあとぇあとgさkdな大丈夫、問題ない

sghfはおfdっぞうcxzsひょえrそれは本当に大丈夫なのですかってええ?いつの間に習得されていたので?」

「今よ」

「お嬢様は何か大きなことを為さる方だとは思っておりましたが、驚きました。」

私も驚いたわ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る