本格始動?

6歳になった。

さすがに3歳だの4歳だのが何を言っても説得力がない。

しかし、貴族としての教育がよりしっかりと始まってくる今ならば。

社会勉強と称して何かお金を動かしたりということも出来るだろう。

他人に働いてもらうには給料が必要なのだ。


よし、さっそくやるぞ。

「カーラ!時が来ましたわ!

雌伏のときは終わりですわ!」

こういうのは雰囲気が大事なのだ。

具体的な計画は少しずつ練っているが、まずは人材を集めなければ。


「はいお嬢様!ついにこの日が来たのですね!」

なんだか感極まったようだ、カーラのテンションが高い。

「こんなこともあろうかと、準備を進めてきました。」

え、準備、知らんですわ!?

「お嬢様の日常を護る!それには力が必要だと考えました。

そう、お嬢様が私を任命されたということは出来るということ、それが必然。」

何が始まったのか、ちょっとよく分からない。


「まず私は力を求めました。

隣国に伝わる秘術、メイド戦闘術。

エリザの語学力が無ければこの力にたどり着くことはできませんでした。」

そこで何故エリザが出てくるのですか。


「そこからは私から説明させていただきます。」

どこから出てきた、エリザ。

「レイシアお嬢様にお褒めのお言葉を頂いた後日、カーラから聞きました。

お嬢様は強烈な運命の星の下に御生まれになったのだと。」

話に尾ひれどころではない。


「そこで私がお嬢様に、何かお役に立てることはありませんかと、

そのようにお尋ねしました。」

そういえばそんなことがあったような気がしてきた。

そうだ、使用人たちの間で、私からそれっぽい役職を付けられるのが流行ったのだ。

カーラが言いふらしまくったせいでは。


「そしてお嬢様からジョブ:お嬢様の通訳士の任命を受けまして。」

待て、ジョブという表現はカーラにも誰にも伝えていない。

「エリザ、ジョブという言葉はどこで?」

「視界の隅に表示されているのをそのまま読みました。」

「視界の隅?視界の隅に表示されているの?」

「そうです、それでカーラの言っていたお嬢様の諸々がやはり正しいのだと確証を得たのです。

さすがにこんなお力はほかでは聞いたことがありませんから。」


ちょっと想定外だぞ?

そもそも、みんなに役職を付けてあげていた時も密かにこっぱずかしかったのだ。

日常の護り手なんて、中学2年生の妄想のようなネーミングをしてしまった。

あれが本人の視界にずっと表示されるのか、やばいな。


「そして、趣味と思っていた語学の習得も、この任務のためにと全力で行いました。

これまでとは全く異なるほどに頭に入り、今では隣接する3国くらいであれば普通に会話ができます。」


エリザはあの時から2年くらいで3か国語を日常会話レベルで習得したと。

そんなに優秀だったのか、そして謎が解けた。


実は役職をみんなにつけた後、ポテンシャルの数値が減り続けていることには気がついていた。

なんなら0になった者もいた。

私は少しでも向いてることを仕事に役立ててもらいたいと、ヒントのつもりで役職を選択したのだが、大真面目に自分の任務として捉えたのだろう。


「そして、カーラへ通訳として役立てることはないかと尋ねたところ、周辺国の戦闘技術について調べられないかと尋ねられたのです。」

いや、そんなことやってたのキミたち。



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