〜第九話 おや、様子が変だぞ?〜

全て罠だった、いや全てではないが言ってみたかった

「魔族も頭良すぎ...いや、敵地の本拠点だからもちろん優秀な奴を派遣してくるよなぁ」


とにかく俺が行うことは王女を守ることだ


「だぁっ!」

扉を勢いよく開けて中に入り見つけたのはルーナに迫っている暴漢....いや、騎士...?



「ミズトっ!」

「ーーなんだよ、もう来たのか」

....外から見ると王女に迫っているように見えなくもない


「ーーーお楽しみ中でしたか?」

「あぁ」

「そうですか...」

そのまま立ち去ろうとすると

「た、助けてくださいっ!みずーー」


一介いっかいの騎士が王女ともあるもの殴りかかる直前に俺は止めた、この国やべぇ


「...誰にそそのかされた?」

「さぁ?それよりもガキがでしゃばっていいのか?」


そう言われると、ルーナは心配そうに見てきた


「...そうだな、斬ったことはあるが最後までやるのは初めてだ」

そう言って殺気をぶつけると、一瞬だけ怯んだがすぐに剣を向けてきた


「その殺気...どうやら他の転移者とは違うようだな」

「...ミズト」

「大丈夫です、これでも剣技には自信があります」

この世界の騎士の実力がどのくらいかわからないが...最初から本気で行ったほうが良いのだろう


剣を縦に構え、心を静める。

「ほぉ、それがお前の世界の剣技か?」

「...」

瞬間、騎士が地を蹴って向かってくる、間合いが数メートルになった時

剣を振り下ろした


次の瞬間には騎士の両腕が斬れて落ちた


「ーーは?」

「ーー」


どうやら別世界でも陽気は使えるらしい、対魔術が使えたからそうなんだろうが

「そ、そんなバカな?一瞬で?」

「....お前、変装している下級魔族だろ、本命はどこにいる?」

「ーーっ、は!そうだ俺は下級魔族さ...本命はなぁっーー」


魔族が言う前に心臓を貫かれた、見られていたのか...気配を感じないがそれほど魔族が強いと言うことなのだろう


「ーーー王女様、無事でしたか?」

「は、はい....って、ルーナと言いましたよね?!」

「あー、ごめんルーナ」

「はい....その、助けていただいてありがとうございました」

「いえ、無事でよかった....です」

「はいーー」


ーーなんだろう、先ほどから顔が赤いのだが

「...ほんとに大丈夫ですか?」

「大丈夫ですっ!!そ、それよりもミズトは強いのですね」

「....えぇ」

「そうですか....」


なんか気まずいんだが!?

まさか、王女..今ので惚れたとかないよね?!いや流石にないか


「水帝!大丈夫か??」

霧島、良いところで来たっ!

「って、この死体は?」

「魔族だ、下級のな」

「水戸が倒したのか?それにその子はーー?」

「この子はーー」

ルーナ自身から言ってもらおうと思い顔を向けるが、ずっとこちらを見ていて霧島が来たことに気づいている様子はない


「....あ、あのルーナさん?」

「.....」


流石に美少女に見られていると恥ずかしくなるので、敬語になってしまうが...反応はない....え、どうしたのこの子


「だ、大丈夫ですか?」

「ーーっ」

顔を近づけるとやっとわかったのか顔を赤くした

「ルーナさん...魔族の襲撃が怖いのはわかりますが、安心してください....こちらは霧島です...」

「ーーーっっ、ま、守るって..」

「ーー?」

おかしいことは言っていないのだが...様子が変だぞ?


「....水帝」

「なんだよ、ゴミを見るような目で見るなよ」

「難聴鈍感め」

「酷くない?!」


別に難聴ではないぞ?!




―――――――――――――――――


A このっ鈍感!


Q 考えすぎでは?流石にチョロインじゃあるまいし


A .....

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