現代の恋愛はとても苦しいものなのではないかと、私は感じています。求められるもの、期待されるものが多すぎて、しがらみやリスクもたくさんあって、恋愛していてもなんだか息苦しい……。
恋愛したくないわけじゃないけど、そこまでの関係は求めていなくて、男女でもっと気楽に交流できる関係性でいたい……。
そういう感覚を知る人にとって、この物語で描かれる男女のあり方は、とても好ましく、理想的とさえ言えるのではないでしょうか。
主人公とヒロインは、好きだとか、愛しているだとか言ってイチャイチャし合うわけではありません。気が向いたときだけ会って、同じ部屋で過ごすくせに、それぞれが好きにゲームに興じていることさえあります。お互いにとって気安い距離感を保ち、心地良い時間を過ごしていきます。
現代ではこの二人に憧れる方も多いのではないでしょうか?
二人の関係は、物語を通して大きく変化していくわけではありません。微妙な変化はありますが、急に恋だ愛だと言い出すことはありません。しかし、その安定した関係性が魅力の作品です。
二人の関係性も素敵ですが、それぞれのキャラクターの造形が深く、どこかに実在しているような感覚になります。
その他、全ての描写の完成度が高いのも、魅力の一つだと感じます。
こういった新しい関係を描いた作品は、今後人気も出てくるのではないかと感じています。