第4話「噂」
1941年10月中旬
アメリカ太平洋艦隊司令長官キンメル大将の耳には驚きの一報が舞い込んできた。
風を切るように部下のアルベルト中佐が階段を駆け上がって、キンメルの司令室に入ってくると、息を整えるため一呼吸した後
「申し上げます、以前日本近海の海を探索に行ったタンバー級潜水艦が予定になっても帰港しておりません。もしかするとジャップの駆逐艦か潜水艦に我が太平洋艦隊所属の潜水艦が撃沈された可能性があります。」
これを聞いたキンメルは「なに!、その情報は確かか。根拠があっていったんだろうアルベルトくん」と少し焦った表情で聞くと
「現在捜索中ですが我が太平洋艦隊の練習艦として運用しているフレッチャー級駆逐艦が戦闘になったであろう海域150海里の無線音波探知機でその一部始終の音声を手に入れております。反響音が多く入り混じっておりますが。最後二分は間違えなく戦闘音声で間違いありません。」
と聞くとすぐさま音声解析システムにデータを入力し音が流れ始めた。
「キィーーーーー、ドォン!、シューーーーーー、ドカン!!」
戦闘は一方的なものとすぐにわかった。
「こんな事があるというのか」と落ち込んだ表情になると
アルベルト中佐に
「我が太平洋艦隊の潜水艦を三艦と駆逐艦5機艦で殲滅作戦を命ずる。このことは誰にも他言してはならんぞ。」
といい部屋を出た。
この作戦はわざと日本の無線に練習という体で日本沿岸地域で演習を行うことを報告し、我ら日本第三潜水艦隊をおびき出す作戦である。
この作戦からは伊1001の姿を把握するための作戦である。
この作戦をアメリカに忍び込ませているスパイ西田兼家海軍中尉はすぐに本国の情報局を通じて米内光政の耳にも届いた。
日にちは明確でなかったものの進撃してくる航路は大まか把握できたのだった。
この知らせを受けた米内光政は決断し、以下の命令を出した。
一、我が帝国の名誉を守るため敵艦を全滅せさり
二、可能な限り情報の漏洩を防ぐべし
この作戦は「サバンナ作戦」と命名された。
この作戦で日本が勝つ確率はわかるだろう。
タンバー級潜水艦
全長 93.62 m
最大幅 8.31 m
機関方式 ディーゼル・エレクトリック方式
主機 1,350馬力 ディーゼルエンジン×4基
エレクトリックモーター×4基
主装備21インチ (533mm) 魚雷発射管×10門(艦首6、艦尾4)、魚雷24本
機銃
と小さく装備も充実していないがこの時代の潜水艦としての役割には十分すぎるほどだった。
この潜水艦同士の戦いに駆逐艦の雷撃は使用できない。万一味方の潜水艦に当たる可能性があり、潜水艦と駆逐艦の戦いは駆逐艦が確実に負けてしまうためである。
もし日本艦隊が駆逐艦隊を派遣したとなればこの時代まだ強く根付いていた大艦巨砲主義により主砲による撃沈が可能な駆逐艦の役割が大きいため動向を決めたのだ。
そして一ヶ月後には「サバンナ作戦」が始動するのだった。
四話を読んでくださりありがとうございます。五話はついに
「サバンナ作戦」が始まる。
この作品の登場人物は架空の人物です。
この作品はフィクションです。
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