第39話 グフ、グフフ...。
☆佐藤梓(さとうあずさ)サイド☆
私は成宮が全然好きではない。
だが考える。
彼女だって人間である。
私は反省しないクソ馬鹿はマジに嫌いだが成宮は反省している。
命を懸けて償っている。
私はそれを認めざるを得ないので彼を。
お兄を見送った。
「...やれやれ」
そんな事を呟きながら送られてきたお兄の動画を見る。
そこにはアパートの一室で歌っているお兄の動画があった。
私はその姿を見ながら笑みを浮かべる。
それから考えつつスマホを閉じる。
「...私も練習するか」
思いながら私は透子にピアノを借りる為に家を出る。
それから自転車に跨ってからそのまま透子の家に向かった。
そして到着して降りてから透子の家に向かう。
玄関を鳴らしてから中に入った。
「ようこそ」
「うん。有難うね。透子」
「じゃあ練習しよっか」
「そうだね」
そして私はピアノの布を取ってから開けて練習を始める。
鍵盤の調子。
私の調子がシンクロする。
だが何だか調子が悪い。
「どうしたの?梓。やけに調子が悪そうだけど」
「...動揺しているのかもね」
「...何に?」
「うん。実は...」
私は全てを透子に説明する。
すると透子は「そっか」と柔和な顔をした。
それから「お兄ちゃん好きだからね。梓は」と笑顔になる。
私は「そうじゃないけど」と頬を膨らませる。
それじゃまるでブラコンだ。
「取られるのが悔しいんでしょ?」
「まあそうだけど...」
「じゃあ作戦立てないとね」
「作戦ってどういう」
「それはね...デート作戦、だよ」
透子は何故か眼鏡を掛けた。
それからにたぁっとする。
私は唖然としながらその顔を見る。
そして透子は「じゃあ先ずはデート先の選定だね」と笑顔になる。
私は「待って待って。デートに行く前提?」と聞いてみる。
「そうだよ?水族館の無料チケットがあるの」
「ま、待って!?私は心に余裕がない!」
「待って待ってって。駄目。待たない。何というか期限明日なんだよ。チケットの期限」
「は、はぁ!?そんなの!」
「良いから行きなさいって」
「いや!?」
明日は確かに休日だ。
だけどそんな馬鹿な事が。
思いながら私はモジモジする。
それから「さ、最近アピールして無いし」と言うと透子が鍵盤を閉じた。
「じゃあ練習している場合じゃ無いね」とニコッとした。
へ?
「私が全て揃える。だから行こうか」
「ど、何処に行くの!?」
「服を買いに行くの。バッグもデートスポットも」
「ぇえ...私、練習しないと訛るから」
「いやいや。デートと練習ってどっちが大切なの」
「...それは愛しいお兄だけど」
「なら決定だね」と言いながら透子はニヤッとした。
それから「じゃあ今から行こう。服を買いに」と笑顔になる。
「お金が無いよ」と言ったが。
「借りにしてあげる」と透子はニコニコした。
えぇ...本気で行くのか。
☆
「うわ可愛い!」
「そうだね...透子。でも...」
「あ。見てみて。こっちのも可愛い!」
「い、いや。透子...」
私達は近所のショッピングモールに来た。
それから透子はきゃいきゃいはしゃぐ。
私は困惑しながら突っ立っていると透子が「もー。そんなんじゃお兄さんを口説けない」と文句を言った。
そんなあれじゃない。
「デートをしたら...あれでしょ。それも待っているんだから」
「...あれって何?」
「エッチだよ」
「と、透子?」
「...ぐふ。...うへへ」
「...」
確かにセックスはしたい。
だけどお兄はそういう感じじゃない。
だからそれは出来ないと思う。
思いながら「透子。無理だって」と言う。
だが透子は私を引き摺ってからそのまま下着ショップに来た。
「透子!!!!?」
「セックスなら勝負下着も買わないとね」
「待って!?貴方ってこんな性格だったの!?」
「そうだよ?実は...私は...趣味...エロゲ好きでねぇ...」
エロゲが好きって。
思いながら私は唖然となる。
透子がそんな感じとは思わなかった。
考えながらだったが。
私は噴き出してしまう。
「ど、どうしたの?梓」
「...いや。想定外だなって思って」
「...え?想定外?」
「まさか透子にそんな趣味があるなんてねって思って」
「ああ。そういうの?私えっちな同人誌とか好きだよ?」
「それは想定外だよ」
私は驚愕しながら透子にクスクスと笑う。
すると透子は「やっと笑ったね」と言ってくる。
私は顔を上げる。
それから透子を見た。
「...何だか辛そうな顔だったから」
「透子...?」
「だから励まそうって思ってね。たまには息が詰まる場所から出たいじゃない」
「まあそうだけど...」
「丁度良かった」
「...透子...」
「所でモザイクがかかっている部分について写真を送って」と透子はニヤッとする。
台無しだ。
思いつつ私は透子を見る。
だけどとっても楽しい気がした。
私は思いながらそのまま勝負下着を選ぶ事にした。
お兄の事を虜にして見せる。
その一心でだ。
「ねえ。梓」
「何?透子」
「一緒にあれやらない?」
「あれって何?」
「エロゲ」
「...い、いや。それは趣味が追い付かないかも」
「面白いよ?エロゲって。感慨深いし」
「そ、そうなんだ」と私は苦笑いを浮かべる。
それから私は手をわさわさ動かす透子を見つめる。
エロゲ...か。
そういえばお兄と話した話題がエロゲだった事もあった。
という事はお兄もエロゲ好き。
なら今からやっておいても損じゃない気がする。
アドバイスがもらえる可能性が。
思いながら私はごくりと唾を飲み込む。
それから「ね、ねえ。どういうエロゲ?」と聞いてみる。
透子は「そうだね。基本的に一途パターンオヌヌメ」と言ってくる。
「生粋のエロゲマニアとしてね」とも話した。
「...そ、そうなんだ。じゃあ貸してくれる?」
「もちよ。パソコンも貸そうか?ウィンドウズが基本だから」
「じゃあ貸してくれる?イヤホンももし良かったら」
「フフフ。遂に梓もエロゲデビューか♪嬉しいな」
「ま、まあね」
何というかお兄とエッチをする時に役に立つかと思った。
だから私はテクニックを学んでおこうと。
そう思いながら私はニヤッとした。
正直...ここからが反撃の時だ。
女子達に打ち勝つ。
「ねえ。梓」
「何?透子」
「今からゲーム屋に行こうか」
「...え!?でも年齢制限が」
「偽れば良いのよ。アハハ」
「...」
う...興味が。
思いながら考え込んでいるといつの間にか透子に引っ張られ。
そのまま年齢を偽ってからエロゲコーナーに入った。
そこはピンク色のアッハンな世界だった。
だけど...勉強しないと。
「...おすすめエロゲは?」
「私はゆずソフ〇がオススメだけどア〇スソフトも良いよねぇ...」
「...知らない単語だ...」
「今から学べば良いんだよ。さあ梓。私とえっちな世界に飛び込もうぜ」
「...心得たよ」
お兄。うふふ。
待っててね。
私...貴方を満足させられる様に頑張る。
思いながら私はニヤッとしながら汗を流しつつエロゲを手に取ってからそのまま眺めた。
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