第34話 祥子と千尋
人生は本当に儚いと聞いた事がある。
私はその言葉を思い出しながら目の前の成宮さんを見る。
家に招き入れた点はこの前と違う点だろう。
私はそう考えながら成宮さんを見る。
成宮さんは対面。
そして前側に私とお姉ちゃんが座っている。
私はお茶を一口飲んでから聞いた。
「...それで米田くん達をどうするの」
「...私は棄てられたけど仮にも米田の兄と付き合っていた。...私が全て愚かだっただけだけど」
「それは知ってる。情報を見た」
「私は...これまでの償いをしたいって初めて思えた。それは...姉の、徹の優しさに触れたから」
「...成程ね」
「だから私は米田を倒さなくちゃいけない」
「具体的にどう倒すの?犯罪で倒すの?」とお姉ちゃんが話す。
すると成宮さんは「米田達を倒すに犯罪は必要ない。...私が犠牲になって倒せば良いだけ」とと言葉を発した。
私達は顔を見合わせる。
「駄目に決まっているでしょ。何を言っているの成宮さん」
「私が全ての原因だと思うから。ならば私が米田を導いて倒すだけ。法で裁くしかない」
「...」
「所詮私は器の様なも...「駄目だよ。それやったら貴方を一生恨む」
成宮さんの言葉を遮った。
それから私は成宮さんを睨む。
成宮さんも静かに私を見据えてくる。
それ以外にどうしろとと言いたげな目でだ。
「...法で裁くのは当たり前だけど。証拠を集めたい。私の知り合いに警察官が居るから何とかする」
「...警察なんて所詮役に立たないと思う。...私がそうだったから」
「...その時はその時。この時はこの時。とにかく貴方が犠牲になって全てを解決するぐらいなら貴方を一生恨む。胸糞が悪い様な結果にはさせない」
「...何でそこまで」
「私の知り合いだから。...いや違う...(友人)だから」
成宮さんは驚愕する。
そして「私に相談された以上は私は貴方を友人と思う。だから私は貴方を犠牲にはさせない」と言葉を発した。
するとそう言っているとお姉ちゃんがクスッと笑う。
「相変わらずだね小春は」と言いながら。
「揶揄わないで」と私は頬を膨らませてから成宮さんを見る。
「貴方は反省している気がする。だからこそ私は貴方に最大限に協力する。今までは貴方は性懲りもなく貴方は悪い事ばっかりしてきたけど」
「...」
「...反省するなら貴方の事をどうにかする」
「...変な奴だね。山吹さんは」
そう言いながら成宮さんは真剣な顔をする。
それから「後悔が襲うと思うよ」と告げてくる。
私は「それでもバンドを守りたいから」と返事をした。
そして私はお姉ちゃんを見る。
「...良いよ。小春のやりたいようにやれば良いじゃない。犯罪にならなければ何でも良いんじゃない」
「ありがとう。お姉ちゃん」
そして私はまた成宮さんを見る。
それから立ち上がる。
「成宮さん。私の決意は揺るがないから安心して」と告げた。
成宮さんは「何故そんなに強いの。貴方は」と聞いてきた。
「...私の親が旅客機。飛行機事故で遺体も見つかってない」
「!」
「...全然違う話だけど貴方はまだご両親がご健在の様だからまだ話し合いができると思う。別の面でも」
「...」
「だから諦めないで。全てを」
「...本当に変な人だね」
そう言いながら成宮さんは「分かった。...アンタ達と何とかする」と立ち上がる。
私は握手を求めた。
すると成宮さんはおずおずしたが手を差し出した。
それを私は掴む。
「決して自らの身を亡ぼすのは止めて」
「...分かった。そういうのは止める。きちんと考える」
「そうだね。それで良いと思う」
私はそう言いながら笑顔を浮かべる。
成宮さんも少しだけ口角を上げた。
そして私達は帰ると言った成宮さんを玄関まで見送ってからそのまま家に帰した。
私はその姿を見送ってから伸びをする。
「しかし変わったね。あの子。警戒の覇気が無くなったっていうか」
「そうだね。お姉ちゃん。...彼女は彼女なりに抵抗していると思うから」
「そっか。...うんうん。それは良い事だね」
それからお姉ちゃんは笑みを浮かべる。
私はその姿を見てから同じ様に笑みを浮かべた。
それから玄関を閉じる。
☆成宮祥子(なりみやしょうこ)サイド☆
私は帰っていると。
目の前の電柱から女子が出て来てその女子に話し掛けられた。
名札を見ると阿部と書かれている。
私は「?」を浮かべながら「誰?」と聞くと「私は阿部。阿部...千尋」と答えた。
「阿部千尋...」
「...阿部美琴(あべみこと)を覚えてますか」
「...!」
「...貴方のイジメで投身した、わ、私の姉です」
「...阿部美琴の...それで...もしかして復讐?というか何でこの居場所が分かったの」
「絶対に貴方だけは許せない。だから...」
そう言いながら震える声で阿部は私を見てくる。
私はその姿を見ながら眉を顰めた。
それから「...殺して良いよ。私を殺したいなら」と手を広げる。
そんな姿に阿部が「え!?」と言った瞬間だった。
阿部の背後から。
薄暗い所からニヤニヤした男が3人現れた。
「え!?」
とまた阿部は素っ頓狂な声を上げる。
すると阿部はそのまま顔面を掴まれてからそのまま暗がりに引きずられて行った。
私は「誰!」と叫ぶと私より30センチぐらいデカい男が私の胸を引き裂いた。
下着が露わになる。
コイツ等...また米田達の仲間か!
「米田の仲間なの」
「...さあね。そんなもん知らないね。...さっきのお嬢ちゃんに道を聞いてそれで...お嬢ちゃんにけしかける様に情報を伝えて付いて来ただけだな。郵便局に行きたいとか嘘を吐いてな」
「...!」
阿部は泣き叫ぶのを抑えられてレイプされそうになっていた。
私は必死に抵抗する。
それから男の手に嚙みついたりしてから離れる。
私は考える。
どうしたら良いのだと。
そう思いながら鞄を漁る。
するとそこにアルコールスプレーがあった。
それのキャップを外して目の前の男の目に思いっきりかけてから私は隙を見て阿部の手を握ってから「走れ!!!!!」と言った。
「な、成宮...!?」
「死にたくないなら走れ!」
「...は、はい」
そして私達は人込みに紛れた。
この場所なら訳が分からなくなるだろう。
思いながら私は阿部をもう一度見る。
阿部は「あ、有難う御座いました」と息を切らしている。
「...何で私を助けてくれたんですか」
「...分からない」
「...その。貴方を見る視線がヤバいですね。ちょっと...」
「私の事は気にしなくて良い」
私は阿部を見る。
阿部はビクッとしながら私を見る。
「警察に行きなさい。必死に訴えて。貴方はどう考えてもこっちに来るべきじゃない」と言い聞かしながら阿部を見る。
阿部は「貴方は」と聞いてきた。
私は「私は光の下に帰れないから」と阿部に向いた。
「阿部。今回の事を訴えて。良いから」
「でも貴方も行かないと。貴方が最も...危険な目に」
「言ったでしょ。私は戻れないって。だからアンタだけでも救われて」
阿部は「でも」と言う。
私はその顔を見ながら「行って。良いから」と背中を押す。
そして阿部を見送ってから私は考え込む。
それから服を買って着替えた。
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