第29話 祥子と徹
☆成宮祥子(なりみやしょうこ)サイド☆
私は激安スーパーで買い物してからそのまま帰宅していると不良集団に絡まれた。
コイツら...と思いながら見ていると「ヘッドがお前の事を自由にして良いって言うからよ。お前、股を誰にでも広げるってな?俺らに犯されろよ」と言いながら金髪2名は私を襲おうとする。
周りの奴らは見て見ぬふりだ。
私は盛大に溜息を吐きながらそのままその場で服を脱ごうとする。
不良達は驚愕している。
無理には抵抗しない様にしておこう。
「するんでしょ」と言いながら脱いで不良集団の為に用意して居ると「おい」と不良の背後から声がした。
顔を上げると何故か徹が居た。
「あ?何?」
「そいつはマジにアホだけど知り合いなんだ。手を出さないでくれるか」
「...は?お前誰だよ」
「近所の交番に言った。...今駆けつけているから」
「...あ?マジうぜぇ事すんなよ」
金髪は徹に食いつく。
私は疑問符を浮かべて「何で助けに来たの」と徹に聞く。
徹は「お前を助けに来たんじゃないけど。見過ごせないから」と話す。
仰天して私は徹を見た。
「いや。俺ら無視して喧嘩すんなよ。何だお前ら」
「黙ってくれる?」
私は威圧しながら不良集団を見る。
鷹の様な目をしていたのだろう。
不良は縮こまった。
それから「お、おう」と言う。
「私は今彼と話している」と睨む。
「...徹。こうやって手出ししていたら危ないけど」
「いや。お前いい加減にしろよ。仮にも俺の彼女だったんだぞ。お前は」
「まあそうだったけどね。今はフリーでしょ。助ける義理も無いけど」
「...確かにそうだな。...お前は俺の世界を破壊した。だけどそれでもレイプされそうなお前を見過ごせない」
「はぁ...意味分からない」
何でそんなに優しくする。
意味が全く分からない。
思いながら居ると警察官が来た。
それから「君達か」と言ってくる。
「...そうですね。コイツ等です。この女子を襲っていました」
「いや。襲われていた訳じゃ無いけど。ただやりたいって言うから仕方が無いからセックスしようとしただけ」
「...そうか。交番で話を聞く。全員来なさい」
そして何故か私もそうだが4人で交番に行く事になった。
それから事情聴取が30分ぐらい続き。
無駄な時間を過ごしてしまった。
私はその間ずっと徹を見る。
何で助けたのだろうか。
☆
「結局無駄な時間だったな」
「...そうね」
私はそう答えながら徹を見る。
交番を後にしてから帰っていた。
徹は「買い物に出たらこの様だ。...お前も激安スーパーに行ってたのかよ」と言ってくる。
私は「悪い?それが」と反応した。
「...お前って屋敷に住んでいたんじゃないのか」
「追い出されたけど」
「...ああ。そうなのか。それはご愁傷様だな」
「...まあそうね。...じゃあ帰るから」
そして徹に背を向けて帰ろうとする。
すると徹が「お前もう悪い事すんなよ」と言ってくる。
私は「は?」と言いながら振り返る。
徹は「ついさっきだったけどお前の事情を知った。お前にも非があるけど全てが悪いとは思わない。お前がこれ以上何もしなければ俺もお前に過激な復讐はしないつもりだ」と答える。
「...俺は復讐は音楽でやるつもりだったから」
「...あっそ。...まあどっちでも良いけど」
「お前の家庭も歪んでいるんだろ。お前が何をしたいか分からないが。もうこれで十分だろ。もうやるな悪い事を。猛省してくれ」
「私がどっちに転んでも関係ないけど」
「せっかくある命を大切にしろ」
私は「言いたい事はそれだけ?」と向く。
それから「じゃあ帰るから」と話す。
そして歩き出しながら私は暫く歩いて歯を食いしばった。
そうしてから「何なんだ。気持ちが悪い」と呟いた。
「...徹の奴は何が言いたい」
そんな言葉を発しながら私はそのまま帰宅した。
それからイライラしながら食材を叩きつける。
そして私は包丁を身構えてから野菜を切る。
そうしてから心を落ち着かせて考えた。
☆佐藤徹(さとうとおる)サイド☆
家から出てから近所のスーパーに買い物を頼まれたのだが。
その際に偶然だが服を脱ぎ始めた成宮を見掛けた。
不良に襲われていた感じだった。
それで助けに入ったのだが結局ろくでもない解決になった。
「...やれやれ」
そんな事を呟きながら俺はスーパーに入る。
それから食材を買ってから表に出る。
すると...華が居た。
もう一人...花ちゃんを連れている。
「よお」
「あ。徹」
「どうしたんだ?買い物か?」
「そうだね。こういう場所じゃないといけないし特売の日じゃないと苦しいから」
「...そうか」
「...徹?どうしたの?」
俺の深刻そうな顔を見てから華は心配げな顔をする。
あの言葉が忘れられない。
米田の脅しの言葉が。
そんな感じで居ると花ちゃんが「おにーさん」と言ってきた。
「あ、ああ。何かな」
「お姉ちゃんと付き合って下さい」
「...ha?」
「はぁ!!!!?何を言っているの!!!!!花!!!!?」
「だっていつまでもお二人がうじうじしている感じだから。もう私自身が飽きてきてるんです。早く付き合ってくれぇ的な感じです」
「だ、駄目に決まっているでしょう!?」
そんな感じで慌てる華。
俺も赤面しながら俯いた。
すると花ちゃんは「えー。だってキスもしたんですよね?」と言ってくる。
人前だ。
「何でそれを知っているの!?花ぁ!!!!!」
「え?カマをかけただけだよ?...え?本当にしたの?」
「ぇえ!?...花ぁ...」
キスは確かにした。
何故なら学校でだが。
不埒である。
俺は苦笑いを浮かべる。
すると華が俺に向いてくる。
「...その。...花のあくまでジョークだから」
「あ、ああ」
「つ、付き合ってほしいのはやまやまだけど。お婿さん出来てほしいのもやまやまだけど!だけどジョーク!!!!!間違いなく!!!!!」
「あ、ああ。言っている事が過激になっているぞ」
「...」
「...」
俺達は静かになり沈黙する。
それからモジモジしていると花ちゃんが「もー。面白く無い」と言った。
そして華の荷物を奪い取る花ちゃん。
そうしてから怒る感じで俺達に向いた。
「お姉ちゃん。私、先に帰る。...帰って来ちゃダメ」
「...か、帰っちゃ駄目ってどういう事」
「でーとして」
「...はぁ!!!!?!!!!!」
「おにーさんとデートして。面白く無い」
「ちょっと!ふざけないで!」
「ふざけてないもん」と言いながら花ちゃんは「じゃあねぇ!」と駆け出してそのまま去ってしまった。
「1時間ぐらい帰って来ちゃ駄目だから!」と大声を発する。
華は顔を俺と見合わせてから真っ赤になった。
それから俯く。
「...本当に帰れない。鍵はあの子しか持ってない。多分開けてくれない」
「...そ、そうか」
「...」
「...」
どうしたもんか。
思いながら俺は「うーぬ」と言いながら華を見る。
すると華は「行きたい場所が有る...んだけど。一緒に来てくれる?」と俺に向いた。
そして紅潮した笑みを浮かべる。
俺は「お、おう」と返事をしながら頬を掻いた。
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