第24話 リベンジ
☆渦宮華(うずみやはな)サイド☆
その日の事から4日後に学校が再開した。
因みに徹のイジメの判明したクラスは事実上、大人の事情的な意味で解体された。
全てを初めからという事になったのだ。
だけどこれで良かったと思う。
そして徹をイジメた奴らは恐れをなしたのか手を出さなくなった。
転校したイジメっ子も居る。
バラバラになった。
で。
夏休みまであと少しの所まで来た。
今からは中間テストなどイベントがある。
ギターを音楽室で練習していた。
私は髪の毛を弄ったりする。
何故か?それは簡単だが...今日は練習に徹が来るのだ。
めちゃくちゃな髪型では許されない。
因みにクラスは解体されて徹はクラスを移動した。
そして私と同じクラスになったのだ。
それも嬉しかったがまた嬉しい事が起こった。
それは...小春も同じクラスだったという事。
「...練習に励めるな」
思いながら私はギターを鳴らしながら練習しているとドアがノックされた。
そしてドアが開いて...ギターケースを持った徹が現れた。
それから梓も。
小春も居た。
「小春も今日は参加するの」
「私は応援だよ。...音楽なんかをやれる立場じゃ無いからね。あはは」
「...そっか。...じゃあ見ていてくれる?」
するとその事に徹が手を挙げた。
私は「うん?」と徹を見る。
徹は「実はな。...山吹さんはマネージャーをしてもらおうかって思ってな」と徹は話してくる。
「あ。それ良いじゃん」と私は納得して徹を見る。
徹は「良い案だろ?」とニカッとした。
「私、音楽は出来ないけどマネージャーなら出来るって思ったからね」
「そっか。とっても良い案だと思う」
「彼女は今日から活動するんだ。準備があって遅れた」
「良いんじゃないかな。活動し始めたの昨日からだし」
そして私は笑みを浮かべる。
すると小春が「それで。メンバーを集めてみたの」と言ってくる。
「メンバー?」と私が「?」を浮かべると小春は「うん」と返事をした。
「ドラムだよ」と言ってきた。
「...ゴメン。その人は信頼出来る?」
「...そうだね。女の子だよ。私の知り合い」
「女子でドラマー?珍しいね」
「阿部千尋(あべちひろ)さん。呼んでくるね」
それからドアが開く。
するとその阿部という女の子が入って来た。
阿部はおずおずした感じで髪が長く。
黒髪が目を覆っていた。
顔が見えない。
「...え?この子が?」
「そうだよ。ドラマーだね。募集をかけた」
「そうか。阿部さん。宜しく」
「...よろしく...です!」
阿部さんは長い髪の下から口角を上げるのを見せながら恥じらう。
その姿を見てから「あ。悪い子じゃない」と思った。
だけど不安だな。
先ずは実力を見せてもらわないと。
「じゃあ先ずは叩いてみてくれる?」
「...はい!おまかせあれ!」
梓がそう言うと阿部さんは髪をかき上げた。
ポニテで縛る。
それから雰囲気のオーラが...っていうか。
猛烈な美少女だった。
どうなって!?
顔が小さくお人形の様な顔立ちだった。
思わず見とれていると。
ダァン!!!!と彼女は思いっきり用意されていたドラムを叩いて演奏を始めた。
私達は顔を見合わせて驚く。
「...しかしここまでとはな...」
そう言いながら顔を小春と見合わせる徹。
私も驚愕しながらその演奏を聴く。
間違いない。
これは才能と手にタコができるぐらい練習している。
私はそう思いながら阿部を見る。
すると阿部さんは演奏を終えてから判定を求めてきた。
「どう...ですか?」
「...迫力がある。気迫もある。うん。一緒に活動したいと思うよ」
徹は目を輝かせる。
それから阿部の手を握る。
私は少しだけ...というか梓も小春もジト目になっていた。
私はそれを感じながら阿部と徹を引き剥がす。
「はいはい」と言いながらだ。
「何でも良いけど。阿部。...いや。バンドメンバーだから千尋。...今日から宜しくね。私達のお仲間さん」
「は、はい!宜しくお願いします!」
千尋はそう言いながら笑顔になる。
私達はそれから顔を見合わせてから演奏を再開しようとした。
その時だった。
そんな千尋の顔付きが「ところで」と変わった。
風がざわっとした。
夏場なのにヒヤッとした。
笑みに全くの楽しそうな感情が含まれない。
「...このバンドに入った理由ですけど本当に個人的な恨みで申し訳無いんですけど。...私、成宮さんに個人的に復讐したいんです」
「...貴方はこのバンドの裏の目的を知っているんだね」
「そうです。私は絶対に成宮さんを許さない」
「...そうなんだね」
「...はい」
そして千尋はスティックを握り締めた。
それから折れそうな勢いで唇を噛む。
「成宮によって...私のお姉ちゃんがイジメによる自殺未遂で下半身不随になったんです」とギリギリと歯を食いしばった。
「だから絶対に許さないです」と言いながらだ。
「...そうだったんだな」
「...はい」
「だけど申し訳無いけどこのバンドは物理的に復讐する場所じゃ無いぞ」
「...はい。知ってます。...物理じゃなくて。...音楽で負かしたいです」
「...そうか。...そうだね」
梓はそう返事をしながら「お兄。それが分かっているなら入れてあげたら」と徹に笑顔になる。
私はその姿を見ながら徹を見る。
そして徹は小春と千尋を見ながら「そうだな」と納得した。
「じゃあ...入れてあげるか」
「...そうだね。それでこそお兄だよ」
「せ、正式に...あ、有難う御座います!」
こうしてバンド。
アクアユニゾンスクエアは活動を開始した。
{メンバー}
ボーカル/ギター(佐藤徹)
ボーカル/ギター(渦宮華)
ピアノ/キーボード(佐藤梓)
ドラム(阿部千尋)
マネージャー(山吹小春)
その様な形で挑む事になった。
裏側では...復讐をする為に。
音楽で全てを見返してやる為にという目標の元で、だ。
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