第20話 羞恥
☆佐藤梓(さとうあずさ)サイド☆
私はお兄を愛している。
昔から溺愛していると思う。
全てはお兄の音楽に惚れてからだがお兄の為に好きだったピアノをまたしようかと思っているぐらいに好きだ。
そもそも私がピアノを辞めた理由は手首の故障だと言ったが。
より正確に言うと故障ではあるが骨折した。
それで繊細な感覚が分からなくなったのだ。
その骨折の理由。
それは交通事故だった。
母親が運転していた車が飲酒運転の車に突っ込まれ事故られたのだ。
私がピアノコンテストの会場に行く為に乗っていた車がであるが。
その事で私は左手を複雑骨折した。
その影響で神経が狂い。
ピアノの繊細な音を奏でれなくなった。
当然だが私は引退を余儀なくされた。
因みにこの後、飲酒運転の容疑者は...自殺した。
とは言っても何だかそこには違和感があるがまあそれは良い。
私はピアノを奏でれなくなってピアノも売り払い。
そして私は普通の日常を送っていたのだが。
今度は父親が亡くなった。
多分その頃からだろう。
私がおかしくなったのは。
だけど私は私自身がおかしいとは思わない。
そんな中で。
最終的にネジが外れたのは...お兄がイジメられている姿を見たせいだ。
「...お兄。私は堪らなく快楽を求めたいって思う」
「だ、だから?」
「私を犯したくない?...私は犯されたいって思う」
「そんなの駄目に決まっているだろう」
「...でも下半身は正直だよ。...もう一度聞くけど私を犯したくない?」
そう言いながら私はお兄を誘惑する。
それからベッドで股を開いてみる。
まだ下着があるからそんなにあれでは無いが。
正直こんな恥ずかしい事をしたくはない。
だけど私は本気だ。
今日が...と思う。
「...」
「私の中にいれたら気持ち良いかもよ」
「...」
「ね」
「...分かった」
そしてお兄は立ち上がる。
それからこっちにやって来た。
犯される。
これからお兄とセックスする。
思いながら目を閉じる。
処女は痛いっていうけど...と思ったら。
お兄は私に制服の上着を被せた。
「...お兄?」
「...お前の気持ちは重々分かった。...今直ぐに俺もお前と気持ち良くなりたい気もする。だけど...まだ問題が解決してない」
「...落ち着いてからって事?」
「そうだな。俺は...今はその時じゃ無いって思う」
「...!」
「お前の気持ちには応えたいって思う。だけどお前と付き合ってない。そして俺は先に物事を片付けてから改めて返事がしたい」
私は目をパチクリしながら制服の上着を握る。
それから私はお兄を見る。
お兄は私に笑顔を浮かべた。
「でもお前の覚悟は良く分かった。有難うな」と言ってくる。
私は急に恥ずかしくなった。
自らが裸に近い恰好をしているのに。
「お、お兄。こっちを見ないでほしい」
「...そ、そうか?」
「そ、その...うん。下着も駄目になっているから」
「...!!!!?」
そして私は立ち上がってからそのまま部屋を(だだだ!)と去って行く。
それから自室に帰る。
そうしてから崩れ落ちた。
何だこの恥ずかしさは。
私は全てを決断した筈なのだが。
「...」
は、恥ずかしくて仕方が無い。
こんな姿を晒していた私も大概だ。
ま、股を開いたのも。
最悪だと思う。
痴女である。
「...」
私はそう思いながら下着を急いで履き替えてからそのまま普段着ている服を着た。
それから隣にあるお兄の部屋のドアをノックする。
そして「お兄。入っても良い」と聞いてみる。
するとお兄から「ああ」と返事を貰った。
私はドアを開ける。
「ああ。そっちの方がよっぽど似合う。...下着も可愛いけどな」
「もう。揶揄わないで。あれ勝負下着じゃ無いから」
「勝負下着だったのか?」
「違うって」
でもそうか。
私はありきたりな大切な事を忘れていたんだな。
思いながら私はベッドに腰掛ける。
それから私はお兄を見る。
「...ようやっと気が付いたか。...お前」
「...気が付いてはないと思う。...だけどこういうやり方じゃ駄目なんだろうね」
「そういうこった。...だけどこれで現に殺した訳じゃ無いけど人が死んでいるから。反省を一回ではい終わりという訳にはいかないだろうな」
「...だけどお兄。それは相殺で仕方が無いって思う。お兄をイジメていた連中だから。どれだけ考えてもね。だから私は全てに反省はしないよ」
「...」
お兄は考え込む。
それから「まあ確かにそうだけどな。だけど人を殺すのは良くない」と言ってくる。
そして「...復讐も良くないと思う」と呟いた。
私は「じゃあどうすれば良いの。お兄」と話す。
するとお兄は「...やり方は2つある。そのうちの1つはお前がやってしまった。だからもう一つ。それは...交渉だと思う」と答えた。
「...じゃないと逆利用される。アイツに」
「...それもしかして成宮?」
「成宮もそうだが状況に気が付いた奴らに何から何まで今回の様にフルボッコにされるぞお前」
「...そうだね」
「...だけどお前がやった事によって全ての流れが変わった。取り敢えずは...この流れを利用する以外は無いだろうな」
私は訳が分からないという感じでお兄を見る。
するとお兄は「復讐は復讐でも俺流でボコボコにしてやる」と言葉を発した。
そしてニヤッとした。
随分とお兄も復讐という言葉にやられている様に感じてしまった。
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