第7話 ライバル

☆佐藤梓(さとうあずさ)サイド☆


私はお兄を待つ。

しかし待てど待てどお兄は帰って来ない。

まさかと思うがまた浮気彼女。


クソ女に絡まれたのだろうか...?

思いながら居るとインターフォンが鳴った。

帰って来た様だ。


「はいはい。お兄。開ける...え?」


ドアを開けるとそこにギターケースを持った女性が立っていた。

それはバンドマンの様な。

私は「?」を浮かべながら「貴方は?」と聞いてみる。

するとバンドマンは「私は渦宮華」と切り出した。


「...佐藤徹君の友人」

「...あ...お兄の...。今、お兄居ませんよ?」

「そうですか。...じゃあ待っていても良いですか」

「え?それは構いませんが...。でも何時になるかも分からないですよ」

「...もしかして屑女に絡まれて?」

「え?」


私は衝撃を受けながら渦宮さんを見る。

そして数秒間考えてから答えが出る。

そうか成程。

彼女も心配しているんだ。

考えながら私は「もしかしてお兄を心配して?」という感じで聞いてみる。

すると渦宮さんは「いや。...端的に彼にプリントを届けに来たの」と赤くなった。


「...」

「...どうしたの?」

「いや。お兄がいつもお世話になっております」

「...お世話になっているのは私よ。貴方のお兄ちゃんには救われてばかりね」

「そうですか?...頼りにならない兄ですけど」

「そんな事はないわ。...私は頼りになるって思っている」

「...」


何故かその女性に「可哀想な人生を歩んでいますから」と言ってしまった。

それから「お兄は...母親を自殺で失っています」とも。

その言葉に「...!?...そうなの?」と聞いてくる渦宮さん。


「何も話さない...というかそういうのは話さないから」

「...そうですね。お兄はそういうの嫌いですからね」

「...友人ぐらいなら話してくれてもいいのに」

「いや。それも無いと思います。彼は...そういう人ですから」


そんな感じで私は苦笑する。

すると「...貴方は貴方のお兄さんが彼女さんに浮気されたの知ってる?」と聞きながら私を見てきた。

私は「...はい。知ってます」と答える。

そして私は渦宮さんを見る。


「...お兄には止められていますけど。義妹として復讐したいです」

「...そうなのね」

「...はい。...もしかして貴方も?」

「私は確実に復讐する。だって私の大切な人が汚されて嬲られてこのままなんて絶対に嫌。情報でレイプされたものだしね」

「...」


私は考え込む。

それから「私はお兄に止められたので何も出来ませんが。貴方を応援したいです」と切り出しながら渦宮さんを見る。

渦宮さんは「義妹として、ね。ありがとう」と向いてくる。

私は胸が高鳴った。


「...私は許せないと思いながら。ずっと秘めていました。こうして貴方と会話出来て良かったです。同じ思いの人に出会えて幸せです」

「...そうだね。私も幸せかな。同じ思いを抱いている人が居て」

「...私は全力で貴方を見守ります」

「そうね」


そんな感じで会話をしていると「どうしたんだ。華」と声がした。

目の前を見るとお兄が帰って来ていた。

私達を驚きの眼差しで見ていた。

私はその事に「何でもないよ。お兄」と答えた。


「バンドが終わったから寄った」

「...そ、そうか」

「...あら。もしかして恥じらっているの?」

「こら。おちょくるな」


その様な会話をする2人。

私は目をパチクリして数秒間また考える。

そして答えが出た。

(まさかとは思うが)という感じでだ。

それから「渦宮さん」と尋ねる。


「どうしたの」

「...渦宮さんはお兄が好きですか」

「な!?お前!!!!?」

「...私が貴方のお兄ちゃんを好きかって?それは大好きよ。...世界で一番」

「...そうですか」


私は唇を噛んでから顔を上げる。

それから「分かりました」と答えながら「上がってもらったら?」とお兄に聞く。

するとお兄は「し、しかし」と恥ずかしがる。

これはマズいな。


「...渦宮さんはどうですか」

「...そうね。じゃあ上がらせてもらおうかな」

「...お前ら...!?」

「何?私が上がったらダメなのかしら」

「そ、そういうんじゃないが...」


そんな感じで慌てるお兄。

私は「...」と思いながら考える。

そうか...渦宮さんはお兄が好きなのか。

思いながら「負けられないな」と思いつつ拳を握ってお兄と渦宮さんを見る。


「...」

「...どうした?華」

「いや。何でもない。気のせいだと思うから」

「気のせいって何がだ」

「それを聞く?恥ずかしいから言わない」

「お前に恥ずかしさもクソも無いだろうに」


そんな感じで他愛無い話をする2人。

だけど私は気が気でない。

まさかそういう事になっているとは思わなかった。

お兄が歌をやっていたのは知っている。

だけどまさかこんなに身近に脅威があるとは。


「...」

「お前もどうしたんだ」

「何でもない。恥ずかしいから聞かないで」

「そんな感じじゃ無いんだが!?」

「聞かないでね?」

「あ、はい」


私は威圧でお兄を黙らせてから考え込む。

作戦を整わせなければ。

思いながら私は・・な目になっているお兄を見た。

そして渦宮さんを見る。

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