The Secret Memory ⑥
「鳥海くんは残念ながら、亡くなってると思うよ。紫穂にも話さなかったっけ?」
そう聞いて、頭のなかが真っ白になった。そしてすぐに怒りと悲しみがこみあげてきて、あっというまに〝わたし〟を支配した。
──なによっ白々しい! お姉ちゃんがわたしに話していたら、わたしはもう知っている! もうたくさん! こんなの! ──こんなのもうたくさん!
鳥海先輩が死んじゃってる!
ほんとうだった! ほんとうだったんだ!
もういない。──もう逢えない! …──苦しい。苦しい! このままじゃ過呼吸になってしまいそう……! 過呼吸になったら、まともに話ができなくなる! ……気を、そらさなきゃ!
わたしは、さまざまな感情のフィルターごしに、口だけを動かした。
「……お姉ちゃんが話していたら、わたしはもう知っているはずでしょう。知らなかったから、いまこうして訊いているんだよ」
この流れだと、怒りの矛先をお姉ちゃんに向けてしまいそう。だから〝そんなのはダメだ〟って自分に云い聞かせた。たんなる八つ当たりだって思われたくもない。
それに、もっとも
そう思ったとき、またあの重い苦しみが押しよせてきた。……息が、苦しい。
あの日、あの時、あの人からの
過ちを犯し続けていた、わたしが悪いの。わたしは自分で自分の首を絞め続けていた──そのせいで、なにかの
「紫穂はそもそも、誰から鳥海くんが亡くなったのを聞いたのよ! いつ知ったの! 云い忘れていた私も悪いけど、いまさら
「責めてないよ」わたしはうんざりして云った。ただでさえこんなに苦しんでいるのに、もう、やめてよ。「誰かを責めるつもりはない。わたしの問題なんだから」
息もたえだえに云って数秒待ったけど、お姉ちゃんからの返答がない。まずいことを口走らないようにダンマリしているのか、なにかを考えているのかはわからない。
わたしはお姉ちゃんがかんぐりに
「わたしが鳥海先輩の死を知らされたのは、十六年前」
こうして年数を口に出してみると、途方もない年数に感じてくる。
十六年間、わたしはこの気持ちをかかえていたんだ。──自分でも〝正気じゃない〟と思わざるをえない。だって十六年だよ。……こんなの、普通じゃない。
「え!」お姉ちゃんの声がへんにうわずった。よかった、返事をしてくれて。「そんな前に? ……最近になって、知ったんじゃないの? ──だったらなおさら、どうして今になって、鳥海くんの話しをするのよ?」
「だから、ずっと逃げていたって云ったでしょう?」
「ああーっ、もう! ややこし! 紫穂、いい?
「……なにから話したらいいのか、わたしにもわからなくて……うまく話せなくて、ごめんね。順を追って、なにがあったのか、誰から聞いたのかを話していく」
過呼吸で
わたしは、鳥海先輩の
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