第壱詣之四 六神合祀ゴッドマッシャ:大杉神社、水神社、八幡宮、大神宮、静神社、水天宮

 本社の参拝をし、白兎の印が押される御朱印の申し込みをした書き手は、書き上がりを待つまでの間、境内の〈摂末社(せつまつしゃ)〉を詣る事にした。


 摂末社とは、〈摂社(せっしゃ)〉と〈末社(まっしゃ)〉を合わせた呼び名で、〈枝社(えだやしろ)〉あるいは〈枝宮(えだみや)〉とも呼ばれ、本社である神社の管理下の、境内や境外の規模の小さな神社を指す。

 ちなみに、一般的には、摂社が、その神社の祭神と縁の深い神を祀った神社、末社はそれ以外の社で、格式の高さは、本社、摂社、末社の順であるらしい。


 大洗磯前神社の境内には、本殿の背後に二つの建物があり、これらは、かつて境内の各所に鎮座していた末社を合わせた物で、「末社併合奉斎殿」と呼ばれ、西殿と東殿に、それぞれ三社ずつ祀られており、その合祀殿へは、拝殿の左側から回り込んで向かう事ができる。


 その西殿に祀られているのが、左から〈大杉神社〉〈水神社〉〈八幡宮〉で、東殿に祀られているのが、〈大神宮〉〈静神社〉〈水天宮〉である。


 大杉神社の祭神は〈倭大物主櫛𤭖玉命〉、その全名は〈大物主神(オオモノヌシノカミ)〉で、大物主神は、『古事記』では別の神として扱われているのだが、『日本書紀』では、大己貴神の別名、あるいは、大己貴神の〈幸魂(さきみたま)奇魂(くしみたま)〉だと言及されており、いずれにせよ、大己貴神と関連が深いようだ。


 水神社の祭神は、『日本書紀』の〈罔象女神(ミツハノメノカミ)〉、『古事記』の〈弥都波能売神(ミヅハノメノカミ)〉で、〈水波能売命〉と表記される事もある。


 八幡宮の祭神は八幡神、〈応神天皇〉だ。


 大神宮の祭神は〈天照皇大神(アマテラススメオオカミ)〉である。


 静(しず)神社は、茨城県に在る常陸国二宮で、主祭神は〈建葉槌命(タケハヅチノミコト)〉、その全名は〈天羽槌雄神(アマノハヅチオノカミ)〉、別名は〈倭文神(シトリノカミ、シズノカミ)〉である。この神は機織りの祖神で、天照大神を天の岩戸から誘い出す為に、文布(あや)を織った神であるが故に、大神宮と静神社の並びには意味があるようにも思える。


 そして、水天宮の祭神は、『古事記』の「天地開闢」に登場する原初の造化三神の一柱である〈天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)〉と、壇之浦の戦いと関連深い、安徳天皇、高倉平中宮(平徳子)、二位の尼(平時子)である。


 このように、それぞれの社の祭神という点から見て、大杉神社を除く、他の五つの社は、本社との関連は然程高くはない、典型的な〈末社〉だ、と思った書き手であった。


〈参考資料〉

〈WEB〉

 「境内案内」、『大洗磯前神社』、令和六年二月二十一日閲覧。

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