第44話 土属性を試してみる
ボスを倒してダンジョンの更なる深みへと潜った俺を出迎えたのは爽やかな風が吹く平原であった。
「よくよく考えるとこの景色って地下に潜り続けてる現状からしてあり得ないよな…本当にどうなってるんだか…まぁ手に入れた土属性を使うにはちょうど良いかな?」
周囲を見渡すとポツポツとモンスターらしきシルエットが見える
「ありゃ牛かな?農場で見れるやつよりも足の筋肉が凄い、あの足から繰り出される突進とか考えたく無いな」
牛モンスターの動向に注意しながら土属性魔法の試運転として手元に土塊や石を出したり、足元の土を隆起させたり陥没させながら遊んでいると遂に一体の牛モンスターがこちらに気づいたようで足で地面を蹴る動作を繰り返している。
「おっとぉ…これ不味くないか?」
そう思った瞬間を見計らったかのように牛モンスターが何か魔法らしき物を纏いながらこちらに突進してくる。
中層のモンスターらしくその速度はかなりのものでそれなりにあった距離がみるみる詰められていく
「これで勢いを削げるか?
手元に生成した弾を飛ばすがその勢いは落ちる事を知らない
「ならこれならどうだ?
一直線に突進するやつのルート上に石の壁を生成する。
バコッ!
凄まじい音を立てて石の壁すらも瞬く間に破壊される…
「不味いな、この調子だと魔法障壁も簡単に突破されそうだ…どうするかな」
こうしている間にも奴はコチラに迫って来ている
「あ、これならイケる」
もう数秒もあれば激突するであろう距離まで来ていた牛モンスターに対して魔法を行使する。
途端に石壁にぶつかっても衰えなかったスピードが遅くなっていく…それもそうだろう奴は盛大にズッこけたのだから。
「中々に上手く行ったな、ルート上の土をいきなり隆起させて転ばせる作戦は…まぁ余りにも勢いよく転んだせいで足がズタズタになって起き上がれないのまでは流石に想定していなかったが」
4本ある足の全てが折れて動けなくなっている牛モンスターにトドメを刺すべく近づいて夜叉を一振りする。
それなりの太さを持った首だったが夜叉の斬れ味の前に呆気なくその首を落とされたのだった。
そして後に残ったのは魔石と頭部に生えていた立派な2本の角であった。
「角かぁ…武具とかの素材として優秀なんか?だとしても今の俺じゃ有効活用できないんだよなぁ…夜叉とか言う優秀な武器もあるし、仮にいつかネックレスにでもしたら特殊効果とか付くのかな?まぁ大事に取っておくか」
そして討伐方法が確立された牛の乱獲へと向かう。一度に大量の数が突進してくるとやや心臓に悪かったが、そこにさえ気をつければこれ以上無いレベリング場所と言えるだろう
「ふぅ…体感2日間くらいか?思ったよりも熱中してたな、いくら急いでないとは言えそろそろ先に向かうかね〜」
などとのんびりしていたその時
ドンッ!
ダンジョンが揺れた
〜あとがき〜
せっかくなんでモンスター紹介でも
名称 『
主人公の呼び方 『牛モンスター』
特徴 相手を発見した瞬間に突進を行う。突進の際には無属性の魔力を周囲に纏うことも合わさって大半の障害を破壊して突き進む
単純な突進力で言えば中層1位である。
が、常に最短距離しか攻めない単純なやつなのでちょっとでっぱりでも作るだけで簡単に転んで動けなくなる阿呆でもある。
ドロップ品である角は魔道具の材料として人気である。
好評だったら他のモンスターもやるかもなのでよろしければ反応いただけると幸いです。
それでは〜
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