第39話 より鋭くより深く穿つ
いくつかの攻撃をして分かったが、目の前に現れた巨大な黒ゴーレムは岩と言うよりは泥に近い作りをしている様に思える。
「打撃は衝撃を吸収され、火は触れた瞬間消火され、斬撃は斬っても泥が戻る様に治っちまうと…強いて言うなら爆破して泥ごと消し飛ばすのがベストってところか…控えめに言ってゴミモンスでは?」
この形態になる前は簡単に倒せそうな相手だったのにここまでウザくなるとは…
さらに言うなら体積がデカくなったせいでゴーレム内部の移動可能範囲も増えより仕留めるのが難しくなっている。
攻撃に関しては早くなってはいるものの充分に対処可能な範囲だ。
「さて、どうやって仕留めるか…いっそのこと夜叉の超火力で跡形もなく蒸発させるか?それとも…ん?」
『超感知』にある僅かな違和感、目の前のゴーレムの反応の中に何かちょこまかとと動き回る反応が…
「まさかこの反応はあのタコか?だとしたらピンポイント攻撃で仕留める事もできるか…良いね、今回はそれを採用しよう。」
夜叉の『怨念の炎』を採用するのは変わらないが放出して消し飛ばすのでは無く刀身に限界まで収縮させて高温を持った『突き』で仕留めてやろうと思う。
考えている最中はギリギリの所で避けていたが一度大きく距離を取り刺突の構えを取る。と言っても精々がフェンシングを見ていた時にこんな感じだった程度のものでしかなく、これからいかに洗練された構えにできるかが今後の課題と言えるだろう。
「まぁ良い」
タイミングを見計らって前方へと突進しながら刺突を放つ…が泥によって威力が減衰されてしまって仕留める事はできなかった。
一度距離を取ってからより抵抗を受けないように2発目、これは目標の深さには到達した物の僅かに切先がブレ結果として回避を許してしまった。
再度距離を置いて3発目、ここまでくると相手もこちらの狙いを理解したのか夜叉の届かない奥側にばかり陣取る様になるが関係ない、
「これで決める!」
夜叉だけでは間合いが足りないならばリスクは多少あれど腕まで突き込んでしまえばいい
「いざ、参る!」
魔力爆破式移動も使いトップスピードで突き込む。
大事なのは抵抗を減らすために並行を維持する事、切先がぶれないが腕の動きを阻害しないくらいの力を入れる事、最後に『躊躇わない事』
3度目に放った突きは肘くらいまでをゴーレムの内部に潜り込ませたところで今までとは確実に違う肉を貫く感触を伝えて来た。
「ハハッ、遂に仕留めてやった…『ドパッ』」
目の前のゴーレムの身体が弾け最後に残ったのはゴーレムが落とした魔石と全身が墨混じりの泥で真っ黒になった俺だけであった…
「アイツ…次あったらソッコーで潰す!」
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