間章 上層時の世界
間話 とある管理職の業務
まえがき
間話がしばらく続きます。
一面目が痛くなるような白に囲まれた部屋にそれは居た。
誰もが見惚れるような傾国の美貌に整えられた肉体美、頭上には神々しい輪が浮かび背中からはこの世の穢れを一才知らないかのような純白の翼が一対
それはまさに神話に語られる天使そのものであった。
「はぁ〜ダルイっすね〜、人類もダンジョンを警戒して全然入らないしお話にならないっすよ。宝箱の補充業務もほぼ無いし、モンスターも補充だけで間引きされないからそろそろ臨界点っすよ?これじゃあ例の件より先に滅んじゃうんじゃ無いっすかね〜。一部の神々が説明すべきだと提唱したのに無視するからこんな事になるんっすよ。封鎖前に入った数少ない人達も夢みがちで油断ばっか、もう5人も残ってないし…」
純白の壁に張り巡らされたモニターと向き合いシステムの調整を繰り返していく。
「No.48ダンジョン96階層は魔物生成が少なすぎるっすね、平均一日3体から5体にして様子を見るっす。逆に59階層は多すぎ…100体の所を90でやっときますか。No.184ダンジョンは…」
業務に励む彼女であったが、そこに一つの通知が届いた。
「む?何の通知っすかね…え、もう上層の踏破者が現れたんすか!?しかもソロ、早すぎるっす。場所はNo.0ダンジョンっすね、えっと対象のステータスは…
レベル115!?中層中盤〜終盤のレベルじゃないっすか!しかも我流武術スキル持ち!?魔法も二属性持ちで探索系スキルも豊富…典型的なソロのオールラウンダータイプっすけどシステム的にはあり得ないはずっす!一体何で…称号『魔石喰い』ィ〜!?あのネタで作られた称号をやったやつがいたんすか!?
流石HENTAIの国とでも言うべきっすかね、取り敢えずステータスは納得出来たんすけど…」
その人間のダンジョン内部での記録を見るがまぁ予想通りとでも言おうか…
「やっぱり高レベルの者が低い階層にいるのはあまり好ましく無いっすね、ダンジョンの目的にもそぐわないっす。幸いにもダンジョンから出たがっている意思も確認できないっすから怨むなら自分を怨んでくれっす」
管理者権限で転移罠を作成、現在対象がいる21階層から中層の中盤あたりである41階層までの直通ルートを足元に仕掛ける。
「ちょうど彼が倒してたオーガの特殊個体の本来のポップ場所っすね、ここなら彼もより強くなるはずっす。」
彼が転移したのを確認してから通常の業務へと戻る。
「ここからより過酷な生存競争が始まるけど彼は上手いこと生き残りそうっすね。案外彼みたいな人を英雄と呼ぶんすかね〜」
ダンジョンの管理のためだけに生み出された彼女はいまだ英雄を知らずにいる。
それと同時に彼女は一際赤いボタンをクリックしてとあるシステムを起動する。
臨界点以上のダンジョンで同時にスタンピートが発生する。
「『人類育成試練システムNo.1スタンピード』起動、今からなら地上に出るまでに3日ってとこすかね」
彼女が今回打った一手が今後の彼にどのような影響をもたらすかは不明だが…
「他の人も彼に続いて命懸けで強くならないとカミサマに滅ぼされちゃうっすよ?」
彼女は白い部屋で楽しそうに笑っていた。
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