第33話 真剣勝負

 ボスと思われる蜘蛛から逃げ回りつつ、相手のスペックに探りを入れる。


 洞窟内を糸を巧みに使って駆け巡る蜘蛛は種族の違い上別の方向性ではあるが冗談抜きであの時のオーガの覚醒前くらいの強さを感じる。


「あっちはパワー特化でこっちはスピード特化か?ただ洞窟内って事もあって生かしきれてないみたいだな、コレだけならオーガの時よりも楽に倒せそうだけどっ!」


 突進後の硬直を狙って夜叉を振り抜くと想像よりもアッサリと甲殻を斬り裂く事に成功する。


「耐久も想像より無いな?今のところ特筆すべき所が想像よりも速いスピードくらいしか無いが、この程度であのオーガと同等の圧が出せるとはとても思えないんだよなぁ…」


 勘違いだったのか?いやでも確かに圧は感じるし…


 などとモヤモヤしていると蜘蛛が今までとは違った挙動を取った。


「お?何をして来るんだ?」


 全身に力を込める蜘蛛の毛がより太くなったかと思うとそれを全て発射してきた!


「こりゃ想定外にも程があるだろ!」


 即座に魔法障壁をはるが『パリィン!』と言う音と共に砕け散ってしまった。


「おいおい、遠距離でこの破壊力とかマジかよ!」


 障壁のお陰で僅かに勢いの落ちた毛を出来る限り夜叉で叩き落とし、どうしても避けきれない毛のみ範囲を狭めた代わりに分厚くなった魔法障壁で対処する。


 しかしその攻撃すらも目眩しだったなんて誰が思うだろうか?


 今までは糸に引っ張られながら半分飛ぶように移動していたからこそ『糸が無ければ突進はない』なんて無意識のうちに勘違いをしてしまった。


 蜘蛛が毛を飛ばす前に何をしていた?『全身に力を込めていた』、じゃあそれは何のために?

『毛を飛ばすため』では無かった。いや正確には間違っている訳でもないだろう、ただ他にも狙いがあっただけの話だ。


 毛を飛ばした後の力をどうするか、簡単だ。全力で地面を蹴って毛の対処をしている人に突っ込めば良い。


「キシャシャシャシャ!」


 牙の間から毒液らしき物を撒き散らしながら迫って来る蜘蛛。


 回避は間に合わない、いつもの爆破も洞窟内だから不可能、ならば出来ることは迎撃のみ


 現在の即放てる最高火力の刀術をこの蜘蛛に!

 自然と取る構えは袈裟斬りに、纏わせるのはあの時よりも火力が上がった怨念の炎と魔力、かつて強敵を斬り裂いたあの一撃を再現する。


「魔戦刀術 弐の刃『斬鬼一閃』ッ!」


 蜘蛛の頭とぶつかり衝撃が夜叉を握る腕に伝わる。加速度合いもあって瞬間的な威力ならオーガよりも上であろう一撃に対してこちらも最高の技で迎え撃ったが仕留めるまだは出来ず鍔迫り合いに移行する。


「さっさとくたばりやがれッ…」


 より夜叉に力を込めるが一向に押し切れない、むしろ開始時よりも不利になっているまである。


「ん…?流石におかしくないか」


 気づいた時にはもう遅く、いきなり全身から力が抜け押し切られる。


「カハッ!」

 洞窟の壁に叩きつけられダメージを負うがそれよりも先にステータス欄を確認する。


 かつて夜叉にやられた事があると感じたのは実際に正しかった。


 状態異常『麻痺』


 どうやらこの蜘蛛は状態異常もお手のものらしい、どうしてくれようかこのクソ蜘蛛が、俺は頬が引き攣るのを感じていた…



ーあとがきー


いつも読んで頂きありがとうございます。作者の鈴ケ谷です。


ついに小説のフォローが100を超えました!3桁ですよ3桁!


この場を借りて感謝させて頂きます。


始めた頃は「まぁ気まぐれで始めたし見てくれたらラッキーだな〜」程度だったのがこんなにも多くの人の目に止まる事になり感動が止まりません。


確かにランキング上位に比べればまだまだですけど100人って凄いですからね?


いつもフォローが増えてたりPV数が増える度にウハウハしております。


もうそろそろ上層も終わりにし、中層編に入る予定ですので、中層にて更にタチの悪くなったダンジョンと最初にでてきて以降1ミリも触れていない地上にも触れていく予定(地上に主人公は行かないらしいで?)ですので今後ともぜひ本作をよろしくお願いします。


最後に、コメント待ってま〜す♪(強欲)

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