第32話 ボス部屋は洞窟
「よし、行くか!」
あの洞窟前で争っていた蜘蛛を漁夫って入った洞窟には、案の定ボス部屋に続く階段が存在した。
そのボス部屋を潜ったのだが、その内部はいつもの様な大広間的場所では無く、そのまま洞窟の中。いや、むしろ
「うへぇ分かれ道まであるのかよコレ本当にボス部屋か?なんか大軍でも来そうな場所だなぁ…蟻でも来るか?」
しかし、今までは階層と関連したモンスターが出てきていた為それは考え難い。
「そう言えば地中に巣穴を作る蜘蛛もいたような?」
そんな俺の予想に答えるかのように前方の曲がり角から蜘蛛の糸が目の前を通り過ぎていく…筈だった。
「なっ!蜘蛛の糸が跳弾なんてすんなよ!」
曲がり角に接着して止まる筈の糸はスーパーボールに引けを取らない弾性を見せ、脅威的な角度とスピードで迫って来る。
体を晒して回避したが、その糸が俺の後ろの壁に引っ付くのを目視出来た。
正直な話、なぜさっきは跳弾したのに今は壁にくっついてるのかを小一時間くらい問い詰められそうなかもするが、それよりも優先すべき事がある。
モン◯ンライ◯をプレイした事ある人なら分かるだろうが蜘蛛系モンスターが糸を壁につけたら次に何をして来るのか、皮肉にも目の前に迫りくる黒い通路を埋める程の巨体が証明していた。
そう、次に来るのは糸を回収しながらの高速の体当たり
「やっべ!避けろ!!」
慌てて別の通路に退避すると目の前を巨体が高速で移動していく。1、2、轟音と共に着弾したそれを見やる。
通路を塞ぐくらいの巨大な胴体に鋭い爪を持った8本の足、毒を流し込めるであろう毒々しい紫色に染まった牙、戦車の装甲くらいありそうな甲殻、そして全身に細かく生えるトゲは1本1本が針のよう。
上層の最後の番人にして本来ならこの浅い階層にいない筈の化け物。クリア条件がボスの討伐では無く逃げるだけで更に狭い洞窟内で全力を出せないにも関わらず近い未来で常に一定数の被害者を生み出し続ける蜘蛛思いの蜘蛛にして上層最後の怪物の名を近い将来の人類はこう呼ぶ
『偉大なる母蜘蛛』と
本来同じ種族と思われるモンスターは50階層付近で目撃される中層のモンスターであるにも関わらず上層にいるダンジョンの悪意が詰め込まれたかのようなモンスターは特殊な行動を待つ。
それは『直前で蜘蛛を倒した物のみ襲いかかり、それ以外は自分から攻撃を仕掛ける事は反撃を除き無いと言う事。』
この仕組みを人類が知らない時期にどこぞの魔石を食べてる主人公見たいに洞窟前の蜘蛛を倒した結果、地雷を見事踏み抜き行方不明の前線攻略者が多数出現し、最終的に原因がわかった結果、行動が母親の様であると言われ『偉大なる母蜘蛛』の名を冠する事となる。
純粋な力のみで攻略できるほどボス部屋は甘く無いと世界に知らしめたボスである。
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