第30話 森で熊と殺し愛

 ある~日♪森の中♪熊さ~んに♪出会~った♪

 そして肩を斬撃でえぐられたんだが???


「痛ぇ!?は?バカ痛いんだが?(逆ギレ)」

 何というか打撃系とは違った痛みがあるよね


「あ、治った」

『聖属性魔法』で治せるか試してみたが意外と何とかなったようだ。

 というか寧ろ治らないと片腕だけはキツイので助かった。


「って危なっ!てめぇ思考中の攻撃は禁止だと義務教育で習わなかったのか!」

 習う訳ないよね。だって熊以前にモンスターだし


 さっきの蜘蛛とは比較にならないくらいには強いな、不可視の飛ぶ斬撃が厄介過ぎる。

 ほらまたぁ、腕の振りで軌道予測して何とか回避可能な速度よ?


「ハハッ、どんな筋肉してんだよお前」

 斬撃を飛ばした直後に接近して夜叉で斬りかかるが、皮と剛毛まではともかくその下の筋肉で刃が止まり大したダメージを入れられない。

 一応刺突技もなくはないが悪手であることに違いないだろう。

 だって刺突いれたら筋肉で固定されて抜けずに反撃を貰うとかあるあるじゃん?


「なので過去作から学ぶ俺は魔力でナイフを作ってチクチクしようと思います。おらっ!引き撃ちは最強なんだよぉ!」


 魔力爆破でブーストかけながら飛ばすナイフはなかなかに良いダメージソースになってくれている。


「こりゃ戦法としてありだな」


 ナイフを腕を狙う形で投げていると、スタミナ切れも込みで動きが鈍くなってくる。


「さて、反撃の時間がやってまいりました。」


 熊の懐に入りこみ度重なるナイフでダメージを負った腕に切りかかる。

 命の危機を感じたようだがその斬撃も障壁を貼るなら防御可能という事に気がつき更に猛攻をかける。


「『怨念の呪縛』『怨念の邪毒』並列発動!食らいやがれっ!」


 首元を切りつけると同時に夜叉から伸びた鎖が熊を縛り上げて拘束する。


「このまま首を落として・・・っ!」


 予想以上のパワーで鎖を引きちぎられたようだ。


「腕が赤い?」

 再び腕を振りかぶる熊、放たれた不可視の斬撃に対して俺の魔法障壁はあっけなく砕け散った。

「障壁なかったら胴体が両断されてたな・・・」


 爪痕のようにえぐられた地面を見て苦笑いが漏れる。


 恐らくは所謂怒り状態だろう。と当たりをつける。


「主な変化は腕が赤くなったのと腕の振りが早くなり不可視の斬撃の威力が上がった事だな。逆に幸いな事は腕を執拗に狙ってたから連打はできなさそうな事だな」


 現に今も斬撃を撃った腕から血を垂らして辛そうにしている。


「やはり引き撃ちが正義じゃったか」


 斬撃を打てなくなった代わりの突進を避け再び斬りつける。鎖はちぎられるので抜きでだ。


「は?いきなりの狂乱は怖すぎないか!?」


 切り付けた直後にいきなり暴れだす熊、別にそれだけなら死に掛けのモンスターにもたまにあるので対して怖くないのだが、問題は致命傷を与えた感触がないのだ。


「もしかして他に条件があるのか?」


 などと悩んでいるといきなり倒れた熊が魔石と爪、そして肉を残して消えていった・・・


「アレ?何で倒れたんだ・・・あ!『怨念の邪毒』か!使うの初めてだったけどそんなに威力高いのか・・・怖ぁ」


 熊との戦いで毒まみれにすればもっと楽に倒せるのではないか?と、ふと思うのであった。


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