第28話 真の森の脅威

 アレから罠を避けながらオークとトレントを狩り、そのまま15層目のボス部屋を攻略し、16層に降り立った。


「ここも相変わらず森か…でも気配がオークとは違う奴らがいるな、そいつと罠は要警戒だな」


 とは言っても対象のモンスターがどのような存在か分からないと手の打ちようがないので1番近くにいた謎の気配に向かって進んでいく


 ある程度森を進んでいると異変は如実に現れる事になった。


「はっ?動けねぇ、こりゃ糸か?」


 突如全身を縛り上げ動きを封じてくる物を糸だとあたりをつけ、何故こうなったかのあたりをつける。


「森で糸に関するモンスターったらほぼ一択だよなぁ…んで、予想が正しければ、やっぱり来たな」


 明らかにこちらの存在を意識した動きで接近してきたそれは人によって評価の変わる見た目をしていた。


「やっぱり蜘蛛か…テリトリーに入ってたんだろうな、てか人サイズの蜘蛛とか想像以上に気持ち悪いな!」


 気配を張り詰めながら確実に獲物を仕留めるべく中距離から糸を飛ばしてくる蜘蛛に対して俺は対蜘蛛用に開発しておいた切り札のを使う。


魔鎧マガイ《炎》」

 全身から溢れ出す炎が纏わりついていた糸を纏めて焼きながら糸を伝って蜘蛛に襲いかかる。

 蜘蛛は慌てたように糸を切り離し離脱するが直前まで迫っていた炎の熱で顔部分が少し焼け爛れている。


「ふぅ、蜘蛛を炙り出すためとは言え流石に糸で縛られるのは窮屈だったな、まぁ糸が問題なく焼ける事が分かったしトントンとするか」


 夜叉を抜刀しようとしたが、炎に包まれた腕を見て考えを改める。

「流石に武器を雑に扱うのは良くないよなぁ…」


 仕方がないので格闘戦で戦う事を決め、一気に肉薄する。


 何も考えていない正面からの突撃なので蜘蛛も口から緑色のどう見ても毒性がありそうな液体を飛ばしてくるが、それを傾斜をつけた『魔法障壁』で逸らしきり、飛んでくる糸は炎に包まれた体の前に即座に焼き尽くされる。


 そのまま接近してシンプルながら誰でも使える右ストレートを腹部に1発、その拳は蜘蛛の腹を突き破り内部を焼き尽くしながら蜘蛛を蹂躙する。


 蜘蛛が痛みに悶えながら暴れ出したので、回避のために距離をおく。


 ある程度の動きを把握したのちトドメを刺そうとしたのだが、この地はダンジョン、管理された社会でない弱肉強食の掟に従うその地では理不尽な乱入者がいる事もまた当然であった。


「おっと、時間をかけすぎたか」

 後ろからの一撃を避けソイツと向き合う。


 そこにいたのは巨大な二足歩行の熊。

 後にこのフロアが上層最難関と呼ばれ、最速で抜けるようになった原因である徘徊型階層王フィールドボスがそこにいた。

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