第25話 肉の後のデザートは難易度が高いようです。
オークは肉を落とす。だが次の階層にオークはいるのか?
ここで肉を集めておかないと次に補充できるのはいつになるかは分からない。
そんな思考と偶然にも階段が見つからない事も相まって妖怪『肉置いてけ』になっていた訳だが、奇妙な所にでた。
「ダンジョンの中に果物のなる木とかあるのか・・・」
別にそれだけならば大した脅威にもならないのだが『超感知』には明らかに目視できる範囲に敵性存在がいる事を示しているはずなのだが、どう見てもモンスターがいるようには見えない。
「ふむ・・・可能性としては何がある?ワーム系みたいに地中をテリトリーにしているタイプか?それとも上空を飛行しているモンスターか・・・」
そう考えて上空を見るが見えるのは木々の葉だけである。
「何も無いのか・・・?」
途端に『危機察知』にこれ以上無い強力な反応が起きる。
反射的にその攻撃を回避するとかろうじて攻撃を仕掛けてきた対象が目に入る。
「は?枝!?・・・くそっ!トレント系かよ!完全に記憶から抜け落ちてたぞ!てかこんな浅い階層に出で来るんじゃねぇ!」
思わず口から飛び出す悪態、しかしこれがまずかった。
恐らく大声を出したせいだろう。静観していたトレント共まで動きだした。
即座に飛んでくる矢のような枝の嵐
「くそっ!お前ら覚えてろよ、必ずその枝になってる果物を乱獲してやるからな!」
一度距離を取って奴らが落ち着くまで待機してから何度かちょっかいをかける。その結果わかったことは奴らは『音』に特に反応するという事、そうでもないとよっぽど至近距離に行かない限り反応することは無い、まぁ上位種になるとどうなるかはわからないがな
「さて、復讐の時間だ!『怨念の炎』」
夜叉を取り出しその刀身に灼熱の炎を纏わせる。『怨嗟の炎』だった時よりも燃費が良くなり火力も段違いに上がっているにも関わらず、そうしようとしない限り無駄な火の粉などが舞わずに対象だけを焼き尽くす何とも便利な進化をしている。
「これで焼き尽くしてくれるわ」
『身体強化』をかけて1足飛びにトレントへと接近する。奴の索敵範囲に入った直後に枝が顔を貫こうと迫るのを首を傾けて回避しすれ違いざまに斬り捨てる。
極力無駄な行動を減らし最短で幹まで辿り着き夜叉で刺し貫く。
トレントに対して刺突は効果が薄い様に思えるがそこは『怨念の炎』が良い仕事をする。奴の内側からは火の粉が見え隠れしており、既に枝の細い所は炎に包まれている。
夜叉を抜いた後の奴は苦しむかの様に燃えた枝葉を振り回して暴れ回る。
「まぁ、これくらいなら狙いもないし回避余裕だな。」
ひょいひょいとこちらに飛んでくる枝をよけながら辛うじて燃えていない果物を回収していると面白い事象を確認できた。
夜叉で貫いたトレントが燃えている枝葉をぶん回し、それが別のトレントにあたって燃え広がると被害を受けたトレントはいくつかの枝で結果的に攻撃したことになる夜叉で刺されたトレントに反撃を行っている。
「まぁ反撃した結果更に延焼して枝をぶん回して更にループが加速しているあたりトレントもアホなんだなぁ・・・」
魔石回収のためにトレントどもの自滅を見届けたがなかなかに面白い物が見れた。
「これで次にあいつらと出会っても夜叉で簡単にシバけるな・・・てかこの果物うまっ!頑張って検証した甲斐があったわぁ~」
こうして俺は無事にデザートを楽しむことができたのであった。
「やべっ、こっちまで燃え広がりそうだ・・・さっさと場所を変えて回収しにいこっと」
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