第17話 あからさまな通路
「さて…と」
俺の声が薄暗い通路に反射している。
石壁の通路は音がよく響き、壁にかけられたランタンがかろうじて明かりの役割を果たしている。
「それでも少し暗いな…明かり確保のついでに火魔法であるかも分からない習熟度上げでもするか、『着火』」
指先にマッチくらいの火を灯し、指から切り離して頭付近まで持っていく
「うし、だいぶ明るくなったな、コレで罠とかにもある程度気づけるだろう。てか今のところ罠とか無いけど実際あるのかな?」
そのまま通路を進んで行くと壁も石壁から苔むした石壁に、さらに荒れ果てた所々地面の見える石壁に…
「あれ?もう階段なのか…てか奥の方から音が聞こえる」
奥からカラッ、コロッ、カタカタと音が聞こえてくる。
奥に見える二つの光、だんだんと近づいてきて明かりの範囲に入ったそれの姿は…
「スケルトン…か?」
なぜか自立歩行している普通より白そうな人骨、本来なら真っ暗な眼窩であるべき所には生命の光と似ているようで違う光を灯している。肋骨の部分には魔石とは違うコアが見えており、あそこを壊せばダンジョン物の定番でワンパン可能なのだろう。
カタカタカタ…
確実にこちらを捉えたスケルトンは笑いが止まらないとても言わんばかりに下顎と頭蓋骨を打ち合わせている。
「せっかくの『夜叉』の初戦闘なんだ、派手に行こうか」
『夜叉』を抜刀し、スケルトンの一挙一動に気を配り、いつでも反撃可能状態にしておく
スケルトンが片手剣を持ち上げて右斜め上から振り下ろしてくるのを慌てて動く事はせずじっと見つめて観察する。
「ここっ!」
次の瞬間刃が届こうか、というところで左腕の方に身体を潜り込ませその攻撃を回避しつつ『夜叉』で上腕部であろう骨を斬り裂く
関節部を狙わずに敢えて骨をぶった斬った訳だが、コレには当然理由がある。スケルトンあるある、なんか骨くっつけて回復を阻止する為だ。骨を当てても関節ならはめられるが、骨の断面なら再び動かすことは不可能だろう
「武器を持つ腕は落としたぞ、さぁどうする?」
あからさまな挑発だがこの行為は重要だ、今の所まだ深くまで潜ってないからかもしれないが部位破壊による行動変化は確認されていない。しかし!それがここから先も無いと誰が言っただろうか!
てか上層でモンハウぶっ込んできたここの製作陣なら絶対やるという確信があるね
カタカタカタ…ポイ(^_^)っミ骨
ダッ!
「うおっ!いきなり腕の骨を投げながら噛みつきにくるなし!」
ブワッ!
突進しながら噛みついてくるスケルトンを回避すると、スケルトンはそのまま倒れ込み残った右腕を軸にしつつ回し蹴りを放ってくる。
「流石にこの階層だとレベル過剰なのかねぇ」
レベルが無かった頃ならまず被弾するであろう速度だったが、モンハウで結果的にレベルが爆上がりした俺には大した速度に思えず、余裕を持って回避する。
「んでもってここっ!」
回し蹴りで隙だらけになったコアを『夜叉』で突き破壊する。
フッ…
壊した途端に目から光がなくなり、崩れ落ちて灰となって消えていく、後には魔石と太もも辺り?の骨が残った。
「この骨は武器なのか?それともアイテムなのか?『鑑定』」
アイテム名 スケルトンの骨
レア度 F
特徴 スケルトンの太い骨、そこら辺の木より硬く、意外と馬鹿に出来ないが、鈍器として使うには軽く、建築などに使うにも短い
小物への加工がオススメ
「へぇ〜、てか加工出来るって事はそう言うスキルもあるのかね?今度試してみるか」
カタカタ…カタカタ…
奥から多くのスケルトンの音が聞こえてくる。
「良いね、対人練習だ。聖属性魔法が効くのかも試したいしな」
そして俺は更にその通路を進むのであった。
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