第13話 モンスターハウス 後編
見るからに強大な魔物であるオーガ、それがテイマーの指示で動いてるなら脅威度は一段上に見て良いだろう。
オーガ…それは色んな作品でBランクからAランクに見られる事が多く、ダンジョンなら中層以下で出てくる事が多い魔物だ。そんな魔物が一段上の力を持ってるとか考えたくは無い。
そんなオーガが武器を構えて…「早っ!?」
『危機察知』に強い反応があり反射的に回避したがかなりのスピードでオーガの攻撃が通り過ぎていった。
かろうじて回避は出来そうなスピードだが今まで見てきた中でダントツのスピードだ。
しかもゴブリンテイマーの足元が光輝くのと同時にコボルトが召喚されている。
「こりゃやばいな…っ!?」
一撃を避けてから一息つか間も無く再度一撃が飛んでくるのを魔力を集めて爆破する事でなんとか相殺する。
ここに更に一撃入れてノックバックさせ、一度離れる。
「出し惜しみは無しだ、『怨嗟の炎』『怨嗟の呪縛』聖魔法『剛力の祈り』『俊敏の祈り』無属性魔法『
今つけられるありったけの火力を盛り込んでいく、その分MPの消費がとんでもない事になりつつあるがまぁ許容範囲だ。
狙うはテイマーである、アイツは召喚やテイムした奴に対してバフを撒けるバッファーも兼任しているようなので最優先撃破対象だ。
オーガに付いているバフは恐らく攻撃力上昇だろう…だって赤いオーラ出てるし、こちらは俊敏を上げているので動体視力も上がり攻撃には対処出来るようになっている。
オーガの斧による横薙ぎの下を行くように避けテイマーに向けて走る。
幸いにもテイマー自体は4階層辺りのゴブリンと同じくらいのステータスしか無いようで反応出来ていないコボルトの間を潜り抜けそのまま首を斬り飛ばす。
「ヨシ!コレでバフは切れるだろうしだいぶ楽になるなっ…ガハッ」
ゴブリンテイマーを倒した瞬間に壁に激突する勢いでぶっ飛ばされる。
「な…何が起きた?」
背中に激痛が走っている。傷の形的には恐らく斬撃系なのを即座に
ここで一つの仮説に至った。
「まさか…テイマーの上限が足りなくて偶然テイムしたのは良いけど能力が万全じゃ無かったのか?」
元々ゴブリンがオーガをテイムしていた事にも違和感があったのだ、それぐらいの縛りがあってもおかしくは無い、だがだとしたら倒す順番を圧倒的にミスった事になる。
「やらかしたなぁ〜っと危ねぇ!」
オーガが追撃で斧を振るってきたので全力で壁から離れ回避する。
反応はかろうじて出来ているがこの速度をどうした物か…
「取り敢えず『鈍足の呪い』だろ?んで後何が出来る…」
足元に魔力を集めて爆破、反動を使って高速移動しながら考える。
ぱっと見均衡しているが魔力が尽きれば一瞬で不利になるだろう。
それに相手のステータスの方が高いためこの速度でも平然と目で追っている、コレでは近づいた瞬間ミンチか首チョンパであろう。なんとか逃れる必要がある。
「何か、何か手はないかっ?」
今使えるスキルから今まで見てきた作品を振り返る、強敵に勝つ為に命を賭けた死闘を行ったヤツらが行ってきた事はなんだったか!ゲームで見てきた厄介な敵の動きはどんな物だったか!
その時思考に一筋の光が差し込む、その事を口に出して呟く
「クイック⤴︎クイック⤴︎スロ〜⤵︎クイック⤴︎クイック⤴︎スロ〜⤵︎」
某火炎放射を使う狂人の迷ゼリフが出てしまったが極論そう言う事だ、動きの緩急はさまざまな作品で言及されている。大概動きに緩急のある敵は攻撃が当てづらくて強い奴が多い印象がある。
だがそれを知っているのと行うのでは大きな差がある、飛ぶ様に動いているのにどうやっていきなりスロ〜に変化するのか、クイックは魔力爆破で良いだろう。
とは言えスロ〜にも策はある。
理論があるなら後は実践あるのみである、ついでに足裏の魔力量を変化させる事で立体機動を行える様にする。
軽く跳ねつつ脱力、ニィっと不敵な笑みを浮かべ迫ってくるオーガを避け、一気にトップスピードに躍り出る。
そのまま跳躍して上空に舞い上がる、本来なら反動があるが今は
その結果何が起こるのか…
「やっば、超楽しい!」
立体機動装置顔負けの高速立体機動である。
オーガが振りかぶってきた斧の上を飛び越える。オーガの剛腕の下を滑り抜ける、角を掴んで一回転して跳躍、さっきまであんなに苦戦してたのが嘘みたいだ。
振り抜かれた斧を置いていくスピードで突っ込み羅刹による高火力をお見舞いする。ただ流石に推定中層クラスの魔物には『怨嗟の呪縛』も効果が薄かったため切っている。
オーガがこちらの動きに慣れてきたら更に足にスケートの刃(あれの名前なんて言うんだっけ?ブレードだったか?)を展開して動きに緩急をつけつつ三次元を動き回る。
動きの予測から目の前に振り下ろされた斧をブレードのかかと部分でブレーキをかけ急な方向転換を行い回避、そのまま腕に羅刹を上段から振り下ろす。
(このまま行けばなんとか倒す事は出来そうだ…)なんて思ってしまったのがフラグになったのだろうか、「今っ!」腕に一撃を入れた事により速度が落ちた斧を避け首を狙う。
その時、俺の視界は真っ赤に染まった…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます