第12話 モンスターハウス 中編
先程の爆破はかなり慌てて爆破したので実は自傷ダメがあったりする。
そんな物は技として失格だ。まぁ自傷ありの高火力もロマンとしては大いに好みだが、この程度のダメージではアウトだ、被ダメと与ダメが釣り合ってない。
最初とは変わるが理想としては低コストで撃てる汎用性の高い技だ。斬撃に沿うように魔力爆破を使用、普通に行うだけでも斬撃による傷跡を抉り大ダメージを与えられる…が、ここで満足せず、時間差での爆破や切り裂いた周囲を一斉に爆破し魔法を掻き消す、などいろいろな使い方を模索する。
「ホブゴブリンの武器持ちが増えてきたな?フェーズが移行したって事かな?にしてもスライムはずっといるな」
コボルトが減ったりした時はあったがスライムはずっと同じぐらいの量が沸いている。踏むと地味に滑るので厄介極まりない、更に不幸とは重なる物で羅刹がいきなり火を纏うとその炎が腕を伝って全身へと広がる。
成程前回は麻痺だったが今回は火傷という事か、念のためステータスもチェックしたが予想通りだった…まぁ耐性があるからそこまでキツくは無いんだが地味に視界が遮られるand全身が動かすと痛い。
俺の頬はこのちょっとした危機に引き攣っていた、
「ハハッ、ボス戦の時はこんなにならなかったのに今の火傷程度でビビってんのか?…いや違うな笑ってんのか」
最後に笑ったのはいつだろうか?親戚の中で最初に生まれた子供と言うだけで無駄に期待された。
無理だろ!と言いたくなるような理想を押し付けられ高い目標を勝手に掲げられ、高校受験用の書類を勝手に別の高校宛で出されていた時は発狂しそうになった。
まぁあれに関しては俺も間抜けだったとしか言えそうに無いが、ある時から妹の方が優秀で俺はゴミ程度に見られだし、俺はむしろ喜んでその期待から逃げた。
苦痛でしか無かった、やりたい事なんて一つもやった事がない、全て親が決めた理想的な子供として動く日々、そんな中で出会ったネットの人々はどこまでも自由でふざけていた。そんなふうに自由に生きたいと思った。
でも現実は変わらない、結果として俺は他人の前で笑わなくなった、感情を見せなくなった。そしてダンジョンに逃げた。偶然にも家族が外に出てる休日で助かった。そうでなければ俺は理想的な子供であり続けただろうから。
「ハッ、やな事を思い出しちまった。俺はここで好きに生きるんだ、死んだって構わねぇ、まぁ逃げ切る為にもここをさっさと抜けてより深くまで潜らないとな…その過程で死んでもそれはそれで笑えるwww」
燃え盛る視界の中自覚した笑みがより獰猛なものへと変化する。技の練習において命の危機があるのは大事だ、危機感があってこそ技は昇華される。
「よし、いくぞ」
過去を思い出してしまったが所詮過去、今は楽しむ事が先決だ。その場で軽く跳ね脱力する。
そして一気足に力を込めてより敵の密度が高い所に飛び込む、四方から飛んでくる剣戟と爪、果てには魔法に弓矢、その全てを斬り裂き、爆破し、呪う、全方位に対して羅刹をお見舞いし、傷口を抉るように爆破、後ろからくるコボルトの喉に突きを入れ爆破、喉を突かれ、更には爆破されれば生物なら生きておれまい、確認せずにそのまま羅刹を前方に戻してゴブリンソルジャーに袈裟斬りをお見舞いする。
スライムを爆風の余波で抹消し、ゴブリン(杖)の魔法やゴブリン(弓)の矢は斬撃を周囲に張り一斉に爆破して防御しながら爆風が消えた瞬間に神聖属性魔法の『ホーリーランス』を撃ち込む、攻撃性の高い聖属性っぽい魔法は神聖属性でしか出来なかったので、恐らく神聖属性は攻撃特化で回復やバフが聖属性の仕事なのだろう。
そのままどんどんと数を減らして行くと、不意に技の扱いがしやすくなった、まさかと思いステータスを見ると表示されている『刀術』と『魔刀術 爆閃刀(仮)』が追加されている。
喜ばしい事に技として認められた様だ、一瞬(仮)を押したらキーボードが表示されたので自分で名前を決めれる物なのだろう。
まぁ今はそんな余裕無いので後回しだ。
その勢いでモンスターを駆逐して行くと遂に打ち止めになった…が最後に出てきた奴がマズイ、本体はゴブリンだがそいつが連れてるオトモが今は勝てなさそうな強者の威圧を放っている。真紅に染まった肌に天を貫く二本の角、牙はどこまでも荒々しくその硬さを彷彿とさせる。その腕は大木の様な太さで掠りでもしたら消し飛ばされそうだ。
『ゴブリンテイマー』と『オーガ』
この2体がこのモンスターハウスを突破する為の最後の番人の様だ。
ーーーーー
あとがき
pv1000突破!
読んでいただきありがとうございます!
コレからも気ままに更新していきますので今後ともよろしくお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます