第11話 モンスターハウス 前編
大量の魔物達が穴から排出され、その数は止まることを知らずに増え続ける。
「チッ!やらかしたな、でもどうにか切り抜け無いと死ぬし、やるしかねぇ!」
気合いと共に羅刹を抜刀、1番近くにいるゴブリン(槍)に斬りかかる。
ゴブリン(槍)を一太刀で斬り伏せるが、その直後に斬りかかってくる剣6本の内4本は弾くが2本で斬られる。
今まではノーダメでも殺せていた奴らでも、ここでは致命傷たりえる攻撃を何発も喰らいかねない、コレこそが数の脅威である。半端な個では圧倒的数の軍にはいくら相手の方が弱くとも勝てないのである。
『攻撃3倍の法則』だっただろうか?防御が固められている陣地を攻めるには最低でも防衛戦力の3倍の戦力を用意せよ…と言った物だがアレも極論数の暴力があれば多少の不利は無理矢理押し返せると言う話だと俺はとった。
コレになぞらえるなら今の俺は防御が固められている陣地サイドだろう。なんなら防御すら固められていない、圧倒的な不利だがやらねば死、徹底的に斬り殺す。
幸いにも自己回復手段があるので、被弾をそこまで意識しなくて良いのは楽だ。
まずやるべきは殲滅、いくら近接メインといってもこの数を殺るのは無理がある。新たに増えていた無属性魔法『魔力球』を『並列詠唱』で多数召喚、またまた増えていた無属性魔法『魔力爆破』で指向性をつけてこちらに攻撃が来ないようにし、爆破
コレを繰り返して大量の魔物達を屠っていく
蓄積魔力が半分を切った辺りで撃ちのを止めると当たりには魔石の山が散乱していた。
いまだに魔物は出現しているが、羅刹で斬り殺しつつ魔石を回収、この時に『アイテムボックス』は入れるだけなら対象に触れている状態で念じれば収納出来る事に気づきペースを上げる事に成功する。
魔石を呑み込んでMPとSPを回復させ、増えきっていない魔物達に斬りかかる。
ゴブリンソルジャーの喉を突き、外側に振り抜くようにしてコボルトを袈裟斬り、そのまま返す刀でスライムを斬り裂く、因みにスライムは最近になって核を発見した。超低確率でドロップするっぽい
間合いの一歩外から一斉に迫ってくるゴブリン(槍)(剣)(斧)に対しては、羅刹を鞘に納め魔力を『武装強化』分にしては過剰に込める。
そのまま間合いに入った瞬間に抜刀し、3体のゴブリンを斬り裂きつつ、過剰に込めた魔力を伸ばして抜刀の間合いを広げ、更に多くの魔物を屠る。
魔石をいくつか呑み込み魔力球を爆破させレーザーみたいに焼き払う。
リスクを伴うが魔物が出ている排出口に近づきリス狩りを行う。
入った時は木刀で打撃メインだったが、羅刹を手に入れてからはコレしか使えなかったのでかなり扱いに慣れた。ステータス上昇における恩恵も相まって今なら実際の流派の奥義とかも使いこなせそうだ…ぼんやりとしか知らなかった事が悔やまれる。
「まぁモンスターを殺すためだけの刀術を1から作るのも楽しそうだ。」
元々1から小技を編み出すのはゲーマー時代からの趣味だ。大量の敵を殺すRTAもやった事がある。
あれはコマンド制だったのでコンボと硬直リセットを極める事しか出来なかったが、こっちならもっと面白い事が出来そうだ。
「まぁそう考えたらこの状況も悪く無いのか?」
現在使っている技(練度クソ雑魚)は『魔刀 閃』と『魔刀 煉獄』の2種類であるが、どちらもまだまだ推定上層にいるからこそ通じるゴリ押しであり、とても技とは言えたものでは無い
コレは俺の自論なのだが技ってのはもっとこう積み上げてきた技術を身体能力に掛け合わせて無限大の力を発揮するような物なのだ。決して相手の目に見えないスピードで動いてそのまま首を掻っ切るみたいな身体能力こそ全て、であってはならない
そのことを踏まえて今現在、ゴブリン種やコボルト、スライムが大量に出てくるこのフィールドは技の開発に丁度良い、そう考えると実に都合が良かったとも思える。
敵の個体数の多さはそのまま試行回数の多さだ。ドロップ調査にしろグリッチ発掘にしろコンボ練にしろ全てにおいて必須である。今回行うべき事は如何に体力を使わず、一撃で、多くのモンスターを殺せるかにかかっている。
「技の方向性はどうしようか、斬撃主体か?それとも魔力に何か面白そうな特性を持たせるか?突き技にもロマンがあるなぁ…」
まぁ今回のテーマは決めてある殲滅だ。
「一撃によって数多の敵を屠るロマン技、飛ぶ斬撃を応用…まぁ先に使えるようになる所からだが、横薙ぎの一撃に飛ぶ斬撃を乗せ広範囲を一度に斬り裂く、さっきの抜刀のスピードと余りの魔力による遠心力斬撃なんてパチモンでは無い真の遠距離斬撃を!」
世間で飛ぶ斬撃について考えた事のある人はどれだけいるだろうか、あれは空気だけで無く風圧等で浮き上がった砂などが対象を切り裂いていると言う考え方が一般的だが、それにはかなりのエネルギーを要し、恐らく今のステータスでは出来ない…
ならばその砂の代用となるのは何か?そうダンジョンに入った時に目覚めてお世話になっている魔力パイセンである。
魔力をあらかじめ用意し、それを飛ばす。
「うん、何を言ってるかわかんね〜な、感覚でなんとかすっか」
魔力を斬撃に沿わせ、斬り終わった後に飛ばす。
流れるように死んでいくゴブリン、だが俺が求めていたのはコレでは無い、コレでは斬撃型無属性魔法をブッパしただけだ。
「もっとこう… どうすっかな〜」
何度か試すが上手くいかない、まぁ斬撃自体は飛んでいるので殲滅は出来ているのだが納得いくものが出来ていないのだ。
「こうすべ…って危なっ!」
また斬撃を放とうとするといきなり目の前を暗殺者ゴブリンが通り過ぎていった。
『危機察知』のお陰で反応できたので斬撃用の魔力を爆破して消し飛ばす。
「…コレ使えるな」
当初の目的とは異なるが斬撃の軌跡に沿って起こる爆発…いやこの場合爆ぜる斬撃とでもゆうべきか、実に技っぽい、強キャラが使いそうだ、使うなら卑怯で勝ちを選ばない剣客とかだろうか?
少なくとも一つ言えるのは実に良いと言う事だ。
「よし、コレを技と言えるまでに昇華するか」
そして俺の挑戦が始まった。
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