第8話 初めてのボス部屋
『煉獄刀一の太刀 魔刀 煉獄』によって出来たガラス道を抜け4階層に行ったが、精々ホブゴブリンが増えたくらいで大した変化は無く、羅刹のお陰で瞬く間に5階層に辿り着く事が出来た。
あれからそれなりにレベルも上がり、蓄積魔力もかなりの量を蓄える事が出来た。どうやら『魔力超回復』が『戦闘時MP継続消費』を上回っているようだ。
そんなこんなで5階層だが、この階層は他の階層とは作りが違っていた。
「ボス部屋…だよなぁ?」
降りた先にはそれなりのサイズの空間と両手で押して開くような大扉があった。どっからどう見てもラノベダンジョンモノによくあるボス部屋である。
「まぁ全体的に余裕がある今なら行っても平気かな?」
MPもSPも満タンなのを確認してから扉を押す。
「ゲェ…近くだと苦悶の表情の人の彫り物とか性格悪すぎだろ…」
一見重そうな扉だったが、ステータスが上がったからか、元々大した重量では無いのかあっさりと開いた。
「奥には広間とファンタジーっぽいランタンね、はいはいファンタジーファンタジーっと」
広間を進んで中間地点程で向こうにモヤが集まりモンスターの姿になるのを確認できた。
一見普通のゴブリンそうだったが『鑑定』すると『ゴブリンソルジャー』と表示された。確かに普通のゴブリンより盾と剣が立派である。
「グギャッグギャッギャャッ!」
ゴブリンソルジャーが吠えると周囲にモヤが集まり盾と剣持ちゴブリンが5体出てくる。
「成程、雑魚召喚持ちか…」
呟きつつ羅刹を抜刀、(てか自室にいた頃より明らかに独り言が増えたな…まぁ良いか)
足に魔力を溜め、足裏で爆ぜさせる。
爆発によって起こるエネルギーは足裏を押し出し文字通り飛ぶような動きでゴブリン共に迫る。
「灼きつけ『怨嗟の炎』」
紅くなった刀身でゴブリンを斬りつけ燃やし尽くす。本来ならMP消費がそれなりに重いが無限湧きの場合ジリ貧になる為、短期決戦だ。
「シッ!」
出てきたゴブリンは全部で5体だが、ソルジャーとの最短ルートに居る1体のみを狙い逆袈裟斬りで斬り裂く、そして勢いを殺さずゴブリンソルジャーに斬りかかる。
数多のゴブリンを斬り殺した羅刹による一撃は…
「防がれた!?」
今までのゴブリンとは比べ物にならない速度で剣を振るったゴブリンソルジャーに弾かれてしまった。
バックステップで距離を取りつつ「隙あり!」と言わんばかりに剣を横薙ぎにしてきたゴブリンを斬りつけ燃やす。
一見すれば均衡状態であるようにも思えるがその実明らかにこちらの方が不利であった。今のまま戦闘が進むなら問題ないが、こちらには『戦闘中確率デバフ効果』『SP消費速度倍加』『戦闘中MP継続消費』とか言う長引けば長引く程不利になるスキルばかりだ。
距離を置きつつ『怨嗟の炎』の使用を止めるとその隙に再びゴブリンソルジャーが吠え、倒していた2体分の剣と盾持ちゴブリンが補充される。
「やっぱり無限湧きか」
全力で仕留めに行こうと思考を巡らせた時にそれは起こった。
バチィ!!
羅刹に突如電流が走ったかと思うと体が動かなくなる。反射的に『ステータス』を開くと
状態異常の『呪い』の隣に『麻痺』が表示されていた。
恐らく『戦闘中確率デバフ効果』で『麻痺』を引いたのだろう。
「ラノベとかである程度どうにかなるだろうと思ったけどこりゃ無理やwww」
出来れば治るまで待って欲しいと思わなくもないが、それをしてくれるなら殺し合いとは言わない
「「「「「「グギャッギャッ!」」」」」」
ゴブリンソルジャーを中心に突撃してくるゴブリン集団に対し俺が取った選択は迎撃である。
「『攻撃力低下の呪い』『硬化の祈り』」
『呪』魔法によるデバフと『聖属性魔法』によるバフを駆使して被弾ダメージを最低限に抑える。『攻撃力低下の呪い』は薄いクッション越しに殴られた感じだ。
こうしてなんとか致命的なダメージを抑えつつ立ち回るが、痺れた身体では捌ききれない攻撃が来るのは必然とも言えた。
「あっ、ヤベ!」
ゴブリンの攻撃を弾いてそのまま絶命させたものの、その隙をつく形で攻撃してきたゴブリンソルジャーの突き技、普段なら避けるか防ぐかした攻撃だが、麻痺状態の俺には防ぐ手段は何も無かった。
多少の防御バフなど意味がないと言わんばかりにゴブリンソルジャーの剣が俺の腹を貫く。
「チッ!
久々に回復をしたものの相変わらず不利状態には違いなかった。しかし、そこで脳裏に閃きが走った!
「あれ?コレ今更すぎるんだが『怨嗟の呪縛』で動き封じてから斬ってしまえば楽だったのでは…」
ふと思いついた可能性に対し、いやいやそんな簡単な訳がと自分で否定しながらも実行する。
「『怨嗟の呪縛』」
まずはスキルを発動し、刀身を黒く染める。
「ギャッ!」
次にゴブリンソルジャーの剣を受け止める。
そしたら流れるように漆黒の鎖のようなオーラがゴブリンソルジャーを縛り上げ腐敗させる。
「ギャ〜!ギャッ!ギャギャッ!」
ゴブリンソルジャーが助けを命じたのかゴブリン共が鎖を解こうとするが、逆にまとめて鎖に囚われる。
「マジかよ…俺の苦労って…」
若干の哀愁感を漂わせつつゴブリンソルジャーの首を羅刹で斬り飛ばす。
すると他のゴブリン共々ドロップアイテムを残して消えていった。と同時に体に熱が灯った。
「おっ、レベル上がったな」
嬉々として『ステータス』を確認しようとするが、その前に部屋の奥の壁が崩れて下に続く階段が姿を現した。
どうやらこのダンジョンにはまだまだ続きがありそうだ。
「まぁでもその前に『ステータス』っと」
ネーム
レベル 15
MP 208/208
SP 216/318
蓄積魔力 168
状態異常
『呪い』
ユニークスキル 『ボスの王』new!
スキル『鑑定』『魔力操作』『アイテムボックス』『魔力超回復』『過剰魔力蓄積』『並列詠唱』『危機察知』『全状態異常耐性』new!
ー特殊魔法ー
『神聖魔法』
『呪』
1 鈍足の呪い
2 攻撃力低下の呪いnew!
ー基礎魔法ー
『聖属性魔法』
1
2 聖炎
3 硬化の祈りnew !
『無属性魔法』
1武装強化
称号
ーレア度Sー
『魔石喰い』『魔法使い』『武器
「おぉ!称号がまた増えてる!今度はどんなのだ?てかユニークスキルってナニ!?リアルでもあったの?!」
早速『鑑定』を行使する。
称号 『状態異常の被害者』
レア度 S
獲得条件 人類で初めて状態異常(呪いを除く)を受ける
特殊効果
1 状態異常の効果半減
2 状態異常の効果時間半減
3 状態異常にかかりづらくなる
4スキル『全状態異常耐性』獲得
称号 『ボス部屋の覇者』
レア度 S
獲得条件 人類で初めてボス部屋をソロ攻略する
特殊効果
1ボス部屋ソロ攻略時に全ステータス倍加
2特殊ボス遭遇率UP
3ユニークスキル『ボスの王』獲得
4ボス撃破時にレベル10上昇
ユニークスキル 『ボスの王』
獲得条件 称号『ボス部屋の覇者』入手
効果 撃破したボスをその身に宿しその力を使えるようになる。
現在使用可能ボス『ゴブリンソルジャー』
「ユニークスキルはどれくらい強力なのか分からんし次の階層で使ってみよっと、てか『ボス部屋の覇者』がヤバいな、なんだよボス撃破時にレベル10上昇って…」
こうして俺は第六階層へと降りていくのだった。
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