2024.12.22──早干し

 雲の無い深い色の青空だった。

 ただなんとなくその空を見上げると、突然空に何本もの「線」が走った。

 それは一見電線や高架線のように見えたが、よく観察するいくつかの寄り合わせた縄のようなものだった。

 そんな縄が、向こうの空から別方向の空まで、その端が確認できないほどに伸びている。一体はこれはなんだろうと考える間に、さらに異変が起きた。

 ガラガラガラという音がしたと思うと、一方の空の端から縄を伝って何かが滑るように現れたのだ。

 それは目の前で停止すると、縄にぶら下がってわずかに揺れていた。そこで私は気付いた。それは洗濯物だった。

 空の端から端まで伸びる縄に、シャツ、ズボン、下着に靴下、空を覆い尽くさんばかりの洗濯物が風に吹かれて揺れている。

 それは雲のように地上に影を作り、日に焼かれて火照っていた私の頬を束の間冷やした。そして数分が経ち、カラカラカラと来た時よりも軽い音を鳴らして、洗濯物は一方の空の向こうへと去っていった。

 そして洗濯を干していた何本もの線は、青空に溶けるように消えていった。

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