2024.12.17──粉撒く偉丈夫
砕けた石英の砂が積もって生まれた白き砂漠を、パステルの粉を纏った偉丈夫が堂々と歩んでいく。
偉丈夫からこぼれる色とりどりの粉は、白き砂漠に色彩豊かな線を引く。
偉丈夫はまっすぐ歩いていたと思えば、時々思い出したように右に曲がり、ある時は革新的な歩みで左に曲がる。その度に粉はこぼれ、砂漠に色が付いていく。
その周囲を歩くこと数時間、やがて偉丈夫はどことも知れぬ目的地へただただまっすぐに進み、二度とその砂漠へは訪れない。
砂漠には絵だけが残される。偉丈夫がそこに現れたという証だけが、いつまでも残り続ける。
砂漠に人が訪れなければ、その絵は誰にも見られることはない。
偶然誰かがこの地に迷い込むこともあるかもしれないが、その誰かに絵を見る余裕がなければ、偉丈夫の存在は誰にも知られない。
万に一つ、その絵に興味が湧いた人間が現れ、それを撮影し、世界に広く拡散されれば、皆が偉丈夫を知ることになる。
あるいはそうなり、あるいはそうならなくても、偉丈夫はこの世界のどこかの砂漠で、一人粉をこぼして歩き続ける。
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