2024.12.08──窓の外の鳥
電車の窓の向こう側に巨大な鳥が居る。
所用あって北の土地に新幹線で向かうことになり、せっかくなので外の景色を眺めながら、何か面白い鳥はいないかと目を凝らしていた。
川辺では魚を狙う鷺を、畑では群れを成す白鳥を続けざまに発見し、少し心が愉快な調子になったところで長いトンネルに差し掛かり、そこを抜けた瞬間、巨大な鳥の目が私の顔を覗き込んできた。
ダチョウやらコウテイペンギンなんかの大型の鳥とか、そういうレベルではない。山のように巨大な鳥が、窓の外に広がる田園風景のほとんどを占領して佇んでいる。
私が言葉を失う間にも新幹線は走り続け、巨大な鳥を置き去りにしていく。巨大な鳥が遠ざかり、普通の鳥くらいのサイズまで小さくなると、私はやっと呼吸を再開し、跳ね上がる心臓を押さえながら顔に滲んだ汗を拭った。
窓から後ろを見てみると、もう鳥の姿は消えている。あの鳥は何者だったのだろうか。何の目的がありあの場所に佇んで、窓越しに私の顔を覗き込んだのだろうか。
土中から顔を出す虫を食べるように、獲物が出てくるのを待ち、それを食べようとしていたのか。
そして獲物とは一体何で、どこから出てくるのを待っていたのか。
窓の外に再び視線を移したところで、背後の方から何かが羽ばたく音が聴こえた。
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