2024.10.31──シュガーシューティング

 突如この地球上に、カボチャ頭のゾンビが出現した。

 カボチャゾンビには既存の重火器、薬品類がまったく通じず、出現してわずか一ヶ月の内に、人類の生息圏のおよそ7割が、カボチャ達に占拠された。

 地上に残ったわずかな土地に追いやられた人類は、期せずして集結した知能を巡らし、試行錯誤の末、ついに対カボチャゾンビ兵器を生み出した。

 カボチャゾンビ達の弱点は糖分だ。元々地球上の生物ではないという考察をしている科学者も居たが、彼らの身体は人類ともカボチャとも異なる体質をしており、その中の一つが、過剰な糖分を浴びると、浸透圧によって身体が潰れるというものであった。

 そしてカボチャゾンビに効率良く集中して糖分をぶつけるために、砂糖を砲丸大に丸めて、それをバズーカ砲によって発射するという方法が採られた。発射の際の熱によって砂糖が解けないように、周りを耐熱紙によって包んであり、その見た目からこの兵器は「キャンディ弾」と命名された。

 キャンディ弾はバズーカ砲数十丁と共に、各地に散在する人類の潜伏先へ送られた。

 カボチャゾンビ達がその生息圏を広げるために人類の住処に立ち入れば、人々はバズーカ砲を担いで、キャンディ弾をゾンビにお見舞いしてやるのだ。

 キャンディ弾の威力は絶大で、一年以上も続いたカボチャゾンビの侵略はついに停止、さらには後退する地域まで出てきた。

 この成果から、人類はさらなる対カボチャゾンビ兵器の開発を進めた。

 近くに来たゾンビを薙ぎ払って倒す近接武器キャンディロッド、 溶かしたチョコレートに大量の砂糖と火薬を入れた地雷クレイモカなどが開発され、人類はさらにカボチャ頭ゾンビ達を押し返す力を強めていった。

 今日は特にカボチャゾンビ達が活発に動き回る日。人々は一人ひとりが強力な甘味を担ぎ、襲い来る亡者達を迎え撃つのである。

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