2024.10.25──メロニンニンメロ
無碍塚緑好が家でくつろいでいる時にまるで見たこともない知らない男が家の中に乱入してきた。男はリビングのソファーを壇上のように我が物顔で足蹴にし、まるで理解のできない、奇怪な、不快な演説を始めた。
「メロンに網模様があるのはなぜか、それは人間の脳が網模様だからである。人間とメロンは兄弟なのである。なぜ同じ兄弟であるこの二人がこれ程までに違う暮らしをしているのか。かたや土に埋められ水と日の光だけを与えられて成長すれば首を撥ねられる一生で、かたや安全なる石の要塞に守られ不自由しない気温の中必要以上の食物を与えられ肥える一生。メロンにも人権が必要だ。人間にも拘束が必要だ。今こそ兄弟が一緒になる時だ。メロンも人も一つとなるのだ。我々は一つになれるのだ。メロンは人間で人間はメロンなのだ」
男の演説を全て聴かない内に、緑好は冷蔵庫中に仕舞っていたメロンで男の後頭部をしたたか殴打してやった。男は幸い気絶しただけで脳の網模様を確認せずに済み、緑好は台所でメロンを切って皿に盛り付け美味しくいただくのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます