2024.10.16──現地調達
文化史跡調査の帰り、立ち寄った古い定食屋の下駄箱で、面白いものを見つけた。
それは壁に飾られている古い雪駄で、靴底がなめし革を使用したものなのだが、見たこともない色と質感をしており、どのような動物の革を使ったものなのか興味が沸いた。
蕎麦を運んできた主人に雪駄のことを尋ねてみると、あれは主人の五代前の頃からあるものらしく、誰が使っていたのか、何故飾られているのかも分からないとのことだった。
主人から雪駄を借りる許可をいただき、私はさっそく研究室にて雪駄の材質について調べ始めた。やはり獣の革には違いないのだが、薄い革を複数重ねたもののようで、鹿でも猪でも熊のものでもなかった。古い時代のもののため時間は掛かるが、革の成分から最も近しい生物を導き出すことにした。
そして一週間。私の手元には、予想にもしなかった悍ましい結果が置かれている。
使われていたなめし革は、人間の革を使ったものだった。
そして追加調査によって分かったこと。あの定食屋の主人の五代前の人物は雪駄の商いをしていた者だった。
彼が商売に来た地方では、地元の人間の神隠しが多発していたそうだ。
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