2024.10.06──モニター実る秋

 テレビの気が今年も沢山の液晶を実らせ、収穫の時期となった。

 我が家は一時期ブランド品のブラウン管を輩出する大農場だったが、時代の移り変わりによりブラウン管テレビの消費量が激減し、ほとんどの農家がそうだったように、我が家も慣れない環境で液晶を実らせる木の栽培に着手せざるを得なくなった。

 知り合いの農家のいくつかが農場を畳む中、我が家は畑を縮小しながらもなんとか液晶の栽培に成功した。営業も軌道に乗り、かつて程ではないが、ゆとりのある生活を取り戻しつつある。

 液晶はブラウン管よりも薄い故、衝撃に弱く割れやすい。自重で地面に落ちてしまう前に早めの収穫が大切だ。梯子に乗りながら丁寧に丁寧に枝から切り取り、二人掛かりでゆっくりと下ろす。

 収穫が終わると、液晶の選別作業が始まる。わずかなヒビや汚れがついているものは残らず廃棄となり、そこを潜り抜けたもの達も、サイズによって等級が分けられる。しかもサイズは、指定されているものの丁度でなくてはならないため、サイズが1mmでも前後すれば、その液晶も廃棄となるのだ。この厳しい選別があるためテレビ農家の敷居は高く、ブラウン管からの移行に伴って離農する家も多くあったのだ。

 我が家では毎日のように液晶のサイズを計測しているため、この廃棄を1/10程度の数にまで減らすことが出来た。今年も目標の数の液晶を出荷することができ、なんとか利益を出すことが叶いそうだ。

 仕事が終わった後は、家族で集まって談笑しながら夕飯を食べる。リビングに置いてある液晶テレビは、もちろん我が家の農場で作られた、一級のものである。

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