2024.09.24──部屋に一人とポテチ袋

 ソファーで横になりながらポテトチップスをつまみにコーラで一杯やっていた夛治見夕顔は、十数分ばかり居眠りをしてしまい、眼が覚めた時には、床にポテチが散乱し、コーラでびしょ濡れになっていた。

 夕顔はため息を吐きながらポテチを拾い、コーラをティッシュで拭き取る。ポテチの袋も床に落ちていたので、それを拾おうと手を伸ばした。

 途端、ポテチの袋が跳び上がった。

 それを見た夕顔も飛び上がり、ソファーの後ろに隠れた。

 ソファーから恐る恐る様子を見ると、袋がわずかに震えているのが分かる。

 なんだ、これは、どういうことだ。寝ている間に袋の中に虫でも入り込んだのか。夕顔は唾を飲み込み、近くにあったスリッパを手に取って、目の前の闖入者ちんにゅうしゃを袋ごと叩き潰さんと、じわり、じわり、ゆっくり距離を詰めていく。

 そして袋がスリッパの射程圏内に入った、その時。

 ぐぅ~~~~っと、腹が鳴る音がした。

 夕顔の腹はポテチとコーラでパンパンである。必然、その音の出所は、自分以外の生き物由来となる。

 少し考えた夕顔は、先ほど拾ったポテチの一枚を、袋の近くに放ってみた。

 袋が袋ごとガサガサガサと動き、ポテチを包み込むと、パリパリパリと軽快な咀嚼音が部屋に響き渡った。

 以降、ポテチの袋はずっと夕顔の部屋に落ちたままだ。

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