　画期的なセロハンテープの巻き方が発見された。ある特殊な巻き方で対象をテープで何重にも補強すると、恐るべき強度を持つのだ。ダイヤモンドよりも固く！　ゴムよりも柔らかい！　この方法の発見により、従来の建築様式は一変した。

　民家だろうが、学校の校舎だろうが、高層ビルだろうが、セロハンテープで巻く！　巻く！　何重にも巻く！！　こうしてセロハンによってテカテカになった建物は暴風にも地震にも、ミサイルの直撃にも耐え、向こう千年は崩壊しないであろう無敵の要塞に変わるのである。従来兵器がまるで役に立たないとなるや、軍事方面も歴史の転換期を迎えることになった。

　そんな中、建物ではなく己の身体にテープを巻き付ける輩が出現した。テープによって頑強に強化されたこの者達は、どのような警備体制が敷かれている場所にも果敢に挑み掛かり、盗み、暴力、破壊の限りを尽くした。彼らは自分たちを「クリスタル・マミーズ」と呼称し、クリマミは数年で巨大な犯罪組織へと成長を遂げることになる。

　クリマミを鎮圧しようにも、従来の武器兵器の類はまったく歯が立たない……各国政府が頭を抱えていると、ある場所から奇妙な一団が出現した。彼らは鉄の棒や板などにテープを巻き付け、強固な武器を自分たちで制作した。この武器はクリマミのテープの鎧を破壊することができ、テープを纏っているが故に動きが鈍いというクリマミの弱点を突くため、自分たちの身体にはテープを巻かず、生身の素早さを生かしてテープ武器を振るった。彼らは自分たちを「ツールラッパー」と呼称し、ツーパーはクリマミに匹敵する勢力を築き上げた。

　クリマミとツーパー。この2つのセロハンテープ使い達による衝突によって、世界は均衡を辛うじて保っているのである。