2024.08.29──一閃! 苔むす刃が悪を斬るっ!
苔に覆われた
見慣れない服装、余所者である。長い間歩き通しであったのか全身がボロボロだが、何よりも目を引いたのは、男が背中にさも大切な財産のように担いでいる奇妙な長物だ。それはまるで金属のハンガーを分解して剣の形に仕立てた、子供のおもちゃのような代物である。
男が水の出なくなった噴水の跡地で憩っていると、近くの深い苔の中から瞬く間にならず者十数名が現れた。男の所持する一切を命ごと奪うのが目的である。
自分の周りに居る人間が皆凶器を手にしているのを確認した男は、例のハンガーソードを手に持ち、ならず者達に切っ先を向けた。途端、場は十数名の嘲笑によって賑やかな空気と相成る。この
ならず者数人が、各々の凶器を手に男に飛び掛かる。瞬間、男がそのハンガーソードを真横に振るった。その行動により、盛り上がった場の空気が一気に白けることとなる。
男に飛び掛かった連中は
男の持つハンガーソードの表面には、いつの間にか深い苔でビッシリと覆われていた。苔にしては所々が鋭く尖っている、見たこともない
解説が終わる頃には、ならず者たちは一人残らず
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